引退の闘莉王が後進に願う“泥臭さ”「技術がそんなに優れていなくても」
サッカー元日本代表で京都DFの田中マルクス闘莉王(38)が1日、都内で引退会見を開いた。プロ19年間で、闘志をむき出しにし自チームのゴールを守り、得点も奪いに行く姿勢が多くのファン・サポーターを魅了したが、後進の選手たちへも、闘莉王らしい言葉を残した。
「今日を持ちましてあっという間の19年間のプロ生活を引退します。たくさんの人たちに、ファンに、サポーターに、こんなしょうもない人間をね、支えていただき、感謝の気持ちで心が、胸がいっぱいです」と引退を報告した闘莉王。現役最後の試合となった柏戦でも流血による負傷交代となり、「最後の最後まで自分らしいなと思いました」と苦笑していた。
現役選手たちへの言葉にも、彼らしさがあふれていた。今のサッカー界の潮流を「今は本当に、きれいなサッカーばっかり。そういう方向にサッカーが進化していっている」と表現した上で、「そういうことを求められている中での、やっぱり泥臭く、多少、技術がそんなに優れなくても、僕みたいにこう一生懸命やって、サポーターに喜ばれる姿勢をね、なくしてほしくないなと。そういう気持ちを伝えられるような選手が消えてほしくないな」と吐露した。
闘莉王は体を張った守備、リーダーシップ、そして機を見ての攻撃参加によるゴール奪取が魅力で、チーム事情により最初からFWとして出場することすらあった。リーグ戦ではJ1で395試合75得点。J2で134試合29得点、通算すると104得点を挙げている。国際Aマッチでは43試合出場8得点。
また、誤解のないように記すと、足元の技術もあり、ロングフィードでの組み立てや、攻撃参加時には技術を生かした得点も挙げている。
闘莉王はそうした闘志や気迫を「炎」と表現し、「この炎が消えかかりそうな時があれば、どんな時であれ、年は関係なく引退しよう」という思いを抱いていたという。去年の終わりごろに、その炎が消えかかっているのを感じ「やっぱり引退しなきゃいけないな」と決断に至ったことも明かした。21世紀に入ってからの日本サッカー界を照らし続けた“大きな炎”を受け継ぐ選手の登場が期待される。