サンフレッチェ城福監督 今季を総括「選手一丸となってよく盛り返した」
今季Jリーグ全日程が終了し、サンフレッチェ広島は15勝10分9敗の勝ち点55で6位だった。順位は昨季2位から後退。勝ち点も57から55に減った。しかし、失点は35から減らし、リーグ2番目に少ない29。これは2013年に並ぶクラブ最少でもあった。若手の台頭も見られ、広島市内で総括会見を行った城福浩監督(58)は一定の成果を口にした。
開幕前、選手に「われわれのライバルは去年のわれわれだ」とゲキを飛ばした指揮官は、「去年の勝ち点に到達できなかったことは本当に残念だし悔しい」と振り返る一方で「苦しい場面もあったが、選手一丸となって、よく盛り返してくれた。結果はもっと欲しかったが、内容としての達成感はある」と語った。
昨季のメンバーからMF森崎が引退し、DF千葉は名古屋へ移籍。さらに主将のMF青山と稲垣は故障で出遅れた。それでもリーグ初戦から7戦負けなしと開幕ダッシュに成功。しかし、その勢いは続かず、第8節からまさかの5連敗。指揮官は6月1日の第14節・札幌戦(札幌ド)の敗北をターニングポイントに挙げた。
「相手の良さを出させないことに選手のエネルギーを使わせてしまい、自分たちが目指しているサッカーが選手にも見ている人にも全く感じられないゲームをやってしまった」と、自身の采配を反省。この試合を境に「もっと伸び伸びとプレーさせて、選手の良さを引き出していくことに重きを置いた」という。ここからチームは一気に上昇気流に乗り、次節の湘南戦から11試合負けなしのクラブタイ記録をマークした。最終盤に再び4試合白星から見放されたが、最終戦の仙台戦は勝利で締めくくった。
浮き沈みのあるシーズンの中で、大きな収穫となったのが若手の台頭だ。GK大迫敬介(20)はスタメンの座を奪い、3バックの中央にもDF荒木隼人(23)が定着。攻撃でもMF森島司(22)がチーム最多7アシストを記録するなどチャンスメーカーとなり、3人は日本代表にも選出された。また、MF松本泰志(21)、MF東俊希(19)も出場機会を増やし、U-22日本代表に選ばれた。
シーズン終了と同時に城福監督の続投も発表された。今季、ACLでは5年ぶりの決勝トーナメント進出で16強入りしたが、YBCルヴァン・カップは準々決勝、天皇杯は4回戦で敗退した。就任3年目となる来季へ向けて「よりアグレッシブに得点の取れるチームを目指す」と、攻撃力アップを掲げた。
また、サポーターに対して「今年は皆さんも相当悔しい思いをされたと思う。『なんでこんなに攻めているのに点が入らないんだ、勝ち点1で終わるような試合ではない』という思いを幾度も味わったのではないか。にもかかわらず、われわれの背中をずっと押し続けて鼓舞してくれた。本当にありがたいと感じた」と感謝し、「来年こそは一緒に喜び合えるシーズンにしたい」と、メッセージを送った。