静岡学園24年ぶりV ミラクル逆転劇に5万6千人大喝采

 「全国高校サッカー・決勝、静岡学園3-2青森山田」(13日、埼玉スタジアム)

 決勝が行われ、静岡学園(静岡)が3-2で青森山田(青森)を下し、鹿児島実と両校優勝だった74回大会以来、24年ぶり2度目で初の単独優勝を果たした。前半11分に先制されるなど前半だけで2失点したが、0-2の前半ロスタイムに反撃のゴールを決めたDF中谷颯辰(そうしん、3年)の2得点などで逆転した。首都圏開催となった1976年度の第55回大会以降の決勝で、90分間で2点差を引っ繰り返した大逆転勝利は初。

 王国復活を告げるホイッスルが満員のスタジアムに響く。控えメンバーはピッチに駆け出し、戦いを終えた選手たちは地面に突っ伏し、喜びを享受した。「(決勝戦は)相手が青森山田で、夢のような世界だった。心の底からうれしい」。川口修監督(46)の言葉には実感がこもっていた。

 決して諦めない姿勢が、奇跡の逆転劇へとつながった。前半33分までに2失点。それでも、前半終了間際にDF中谷がFKからのこぼれ球を押し込むと、これが反撃ののろしとななった。

 ハーフタイムのロッカーで、自らを見つめ直す。「受け身になってアグレッシブさが足りなかった」と主将DF阿部健人(3年)。指揮官からもゲキが飛んだ。「『やるぞ』と伝え、戦闘態勢に入った」。後半16分にはFW加納大(2年)が鋭いターンからのミドルをたたき込んで同点。さらに同40分にはセットプレーから中谷が決勝弾を頭で決めた。

 「王国復活を掲げてきていた」。殊勲の中谷は語る。静岡県勢として24年ぶりの優勝。川口監督は「昔の強い時代は個性的な選手がいたが、静岡のサッカーが勝負にこだわるようになって個が失われてきた」と感じたという。個人技を生かし、パス、ドリブルの技術を磨く静学伝統のスタイルで頂点まで登り詰めた意義は大きい。

 「厳しい戦いが待ち受けていると思いますけど、ここで満足せずに2連覇を目指したい」と2年生の加納は先を見据える。強く、攻撃的で魅力的なスタイルを貫く静岡学園は、王座を守るのではない。さらに攻めて、連覇をつかみ取ることを目指している。

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