J1神戸2冠フィンク監督、成績不振で事実上の解任 4年連続“負の伝統”再び
J1神戸は22日、ドイツ出身のトルステン・フィンク監督(52)が本人の意向により21日付で退任したと発表した。複数の関係者によると成績不振による事実上の解任で、神戸のシーズン途中での監督交代は4年連続、今季J1では初となる。後任は未定で、23日の鳥栖戦(ノエスタ)はスペイン出身のマルコス・ビベス・アシスタントコーチ(45)が暫定的に指揮を執る。
“負の伝統”がまたも繰り返された。フィンク監督の退任で、神戸のシーズン途中の監督交代は4年連続となった。クラブは「監督の意向」とし、フィンク監督も「家族の元に戻るという決断をした」とクラブを通じてコメントしたが、事実上の解任だった。
19年6月に就任したフィンク監督の契約は今季で満了だった。クラブ側に契約延長の意思はなく、今季限りでの退任は既定路線だった。一方でフィンク監督はアジア・チャンピオンズリーグ優勝を掲げ、今季の指揮を全うすることに強い意欲を示していたが、直近の公式戦8試合連続未勝利でリーグ戦でも12位と低迷する現状もあり、クラブは21日に解任を通告。異例となる試合2日前の指揮官交代に踏み切った。
選手にはこの日午後の練習前、フィンク監督自身の口から直接伝えられたといい、副主将のMF山口は「僕もさっき知ったばかりで(気持ちを)整理するのが難しい」と動揺を隠し切れなかった。
後任は未定で、23日の鳥栖戦はビベス・アシスタントコーチが暫定的に指揮を執る。新指揮官の選定を急ぐが、今年は新型コロナウイルスの影響で選手に勝利給半額を提案するなど神戸と言えども資金不足で、外国人監督の招へいは容易ではなく“暫定政権”が長引く可能性もある。
“劇薬”によって一時的に成績は上向くかもしれないが、昨季フィンク監督が繰り返し強調していた「継続性」や「ベース(基盤)」は再び失われようとしている。ただ、元日の天皇杯決勝を制し、クラブ創設25年目で初タイトルに導くなど2冠を獲得したフィンク監督の功績が色あせることはない。