【記者の視点】森保監督「チャレンジしたいことできた」 実戦を通じて「課題」可視化
「国際親善試合、日本1-0コートジボワール」(13日、ユトレヒト)
日本は後半ロスタイムにDF植田直通(25)=セルクル・ブリュージュ=が決勝点をたたき込み、コートジボワールを1-0で下した。2020年初の代表活動となったオランダ遠征は1勝1分けで終了。世界中に広がった新型コロナウイルス感染症の影響で長きにわたって中断した代表活動だったが、遠くオランダの地で得た収穫と課題を考える。
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「禍(わざわい)を転じて福となす」。世界にはびこるウイルスに負けじと開催にこぎ着けた約1年ぶりの代表活動は、そんな言葉がふさわしい2試合180分であり、9日間の代表活動だったのではないか。
前戦から先発7人を入れ替えて臨んだコートジボワール戦。カメルーン戦での積極的な姿勢は維持しながらも、攻守両面で戦術面がある程度整理され、身体能力に優れる相手に安定した戦いを披露。終盤にセットプレーから決勝点を奪う粘り腰も見せた。流れの中からゴールに迫る、得点を奪う部分では物足りなさが残ったが、実戦を通じて課題が可視化されたことも意味深く感じられた。
2試合では多くのメンバーを起用し、カメルーン戦の後半には3バックの布陣もテスト。森保監督はコートジボワール戦後にこの2試合を「チャレンジしたいと思っていたことに関して、準備してきたものの100%ではないが、ある程度できた」と総括した。
一方で、本当に大きな収穫はピッチ外にあったのではないか。10月の活動に関して、W杯予選は延期となったが、代表チームに選手招集の権利が生まれる国際Aマッチ期間は維持。新型コロナの影響で国内開催は断念したが、日本協会の事務局員やオランダサッカー協会、同国関係各所の協力で約1年ぶりの活動にこぎ着けた。
現体制発足以降、初となる欧州での活動。その結果、特に恵まれたと見えたのが対戦相手の質だ。相まみえたアフリカ2カ国は欧州でプレーする選手も多く、移動の負担も軽度。DF吉田は「2試合とも、非常に良いコンディションのチームだった」。日本開催ではまず体感できない実戦経験をし、その上で2戦無失点という手応えをつかみ取った。
14日にはオランダ国内で部分的ロックダウンが行われるなど、本当に綱渡りの中で実現した遠征だった。期間中は感染症対策を徹底し、日本代表の選手・スタッフからの感染者を出さずに完遂した。コロナ禍での代表活動を、さらなる飛躍へとつなげたい。(デイリースポーツサッカー日本代表担当・松落大樹)