南野が10番1号「何かを示さないと居場所ない」 森保ジャパンがパナマを完封
「国際親善試合、日本1-0パナマ」(13日、グラーツ)
日本は後半16分にFW南野拓実(25)=リバプール=が自ら得たPKを決め、パナマを1-0で下した。南野にとっては背番号「10」での代表初ゴールとなった。完封勝利となったが、追加点は奪えず。流れの中から得点を奪うという課題は、解決策を探している段階だ。
迷いなく右足を振った。南野は後半16分、自ら得たPKをゴール真ん中に蹴り込んだ。森保体制最多の12得点目は、10月の親善試合から背負う背番号10での初ゴールとなった。「ジャストミートしなかった」というダフり気味の弾道には南野の強気が詰まっていた。
危機感が南野を駆り立てた。所属先のリバプールでは逆風にさらされている。10月の代表活動後、公式戦の出場時間は97分間。直近のマンチェスターC戦ではベンチ外に追いやられた。「チームで試合に出ていない。ここで何かを示して帰らないと代表での居場所もない」。背水の覚悟を右足に込めた。
1トップに入り久保建と好連係を見せた。2人の共存は代表最長の72分間に及び「タケ(久保建)はボールを持ったら前を向ける。自分としてはやりやすい」。決勝点のPKは久保建のスルーパスに南野が抜け出し、相手GKに倒されて得た。「思い描いていた形がPK、ゴールにつながった」とうなづいた。
「こういう状況でサッカーができることに感謝したい」と語るように、コロナ禍での代表活動に懸ける思いは強い。日本に緊急事態宣言が出されていた5月、小学校卒業まで在籍した地元ゼッセル熊取の選手たちに向けて「自宅待機でも何か成長するための努力を心掛けて生活してほしい」と激励のビデオメッセージを届けた。南野を指導した杉山恵三代表は「後輩たちの励みになる」と喜んだ。
余韻に浸ることなく次のメキシコ戦を見据えた。勝利に導くゴールを重ねても、南野の渇きが満たされることはない。