「明治安田生命Ｊ１、川崎５－０Ｇ大阪」（２５日、川崎市等々力陸上競技場）

　川崎が２位Ｇ大阪を５－０で下し、２年ぶり３度目のリーグ制覇を決めた。４試合を残しての優勝は、２０１０年の名古屋の３試合を上回る最速。年間勝ち点７５、勝利数２４も３４試合制の０５年以降（２ステージの１５、１６年を含む）で最多となった。今季は、延長を除く同一シーズンのＪ１新記録となる１２連勝をマークするなど、第４節から一度も首位の座を譲ることなく独走。その強さを見せつける試合で優勝を決めた。

　雨上がりの等々力の夜空に、４つ目の星が瞬いた。優勝が決まると、今季限りで引退するＭＦ中村を中心にピッチ上で歓喜の“密”ができた。２位との直接対決で５－０大勝。優勝セレモニーでスタンドを見渡した中村は言った。「いやーもう最高です。最高以外の言葉が浮かばない」。

　交代枠拡大や、季節を問わない試合中の飲水タイム。過密日程に加えてルールまでも変わるイレギュラーな１年を、どこよりも力強く走り抜けた。史上最速、４試合を残してのＶ決定。Ｊ史上で記録に残る強さを支えたのは、過密日程を乗り切った層の厚さだった。

　手札の強さを再確認したのは、リーグ再開目前の６月。新ルールを適用して行った練習試合だった。５人交代で戦況が一変すると改めて実感したという鬼木監督だが、一方で「ウチにとってはチャンスなんじゃないか」。今季、途中から切るカードは気持ち良いほどハマった。現時点の総得点である７９点中、約３割の２４点が途中出場の選手が決めた。先発メンバーの組み合わせは３０戦で２５通り。指揮官が「これがベストみたいなのはまだ自分のなかで全然ない」。全選手が主力と呼ぶにふさわしい強さだった。

　多士済々の戦力を誇るチームは、シーズン中も成長曲線を描き続けた。昨季はルヴァン杯を獲得もリーグは４位。鬼木監督は悔しさとともに心に決めた。「守りに入っては発展できない。これまでを捨てる覚悟で変わらないといけない」。今季は攻撃的な４－３－３の布陣で得点へのこだわりを強く打ち出し「目指すは１試合３得点」と口にし続けた。

　選手たちも飽くなき向上心を見せた。全選手が繰り広げる、高い次元での競争が今季の当たり前だった。２度の大型連勝を達成時も、勝利のロッカールームではすぐに次戦に向けての修正点を話し合う選手たち。そんな姿に、指揮官は「もっと喜んでもいいんじゃないかなと思った」と苦笑いしたという。

　圧巻の強さで駆け抜けた２０２０年シーズン。最後の目標は、クラブ史上初の複数タイトルとなる天皇杯制覇。元日の国立で、５つ目の星をつかむ挑戦は続く。