J1仙台・手倉森新監督 クラブから“離れた気持ち”を「まず取り戻したい」就任会見
J1仙台の来季監督に就任する手倉森誠氏が29日、オンライン形式での会見に臨んだ。サッカーチームとしての強化以前に、今季は所属選手の不祥事や経営難などを理由に、サポーターや地元の人々の心が離れてしまっているのではないかと憂慮。「ベガルタから気持ちが離れていった市民・県民の皆さんの気持ちをまず取り戻したい。そこが一番です」と語った。
手倉森氏といえば、明るいキャラクターと“オヤジギャグ”を盛り込んだスピーチでサッカー界では知られている。2011年の東日本大震災発生から10年を迎えるタイミングでの就任に、運命を感じるとした上で、「“8季”ぶりにその力を“発揮”しろと、いわんばかりのタイミングだととらえて」と、持ち味を出していた。
ただ、こうしたリップサービスと同時に、仙台が置かれた苦境を真剣に考えている。今季リーグ戦は18チーム中17位に低迷。クラブは経営難に陥り、不祥事を理由にした選手の契約解除もあった。
就任にあたっての目標を「謙虚に、皆さんの信頼を勝ち取るべく、地道なことをコツコツとやって、本当に信頼を取り戻せるような戦いを一戦一戦示していきたい」と語り、選手に対しては「地域のために働く気のないやつとは仕事をしないと言えるので、そういったモチベーションをしっかり植え付けて、仙台で戦う意味をしっかりすり込んで、ピッチに立たせたいなと思います」とのメッセージを発信した。
手倉森氏は、08年から13年にかけて、仙台の監督を務めていた。09年にクラブをJ1昇格に導き、震災のあった11年に4位、12年には2位と躍進。当時、仙台、東北の人々の思いを受けて戦っていたことを強調した。
戦力面の補強も進めているとしたが、「自分がやっていたころに、一緒に東北の復興のために、希望の光になるんだと力を注いでくれたみんなが、またこのクラブに力を注いでくれることが最大の補強だと思っていますから」と語る。「震災に負けていないんだということと、今年、コロナで全国・世界中苦しんでいますけど、このみちのく、東北がコロナを乗り越えて、今シーズン味わった苦境・逆境からはい上がる姿を示して、ベガルタ旋風を日本にとどろかせていきたいなと思います」と抱負を述べた。