山梨学院11大会ぶり2度目の優勝 11年前と同一カードをPK戦で返り討ち
「全国高校サッカー選手権・決勝、山梨学院2(PK4-2)2青森山田」(11日、埼玉スタジアム)
決勝が行われ、山梨学院が11大会ぶり2度目の優勝を果たした。青森山田との対戦は延長でも2-2と決着がつかず、PK戦を4-2で制した。決勝がPKで決着するのは8大会ぶり。青森山田は2大会連続の準優勝。決勝でも得点した青森山田のMF安斎颯馬(3年)が通算5ゴールで得点王に輝いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大会期間中に首都圏1都3県に緊急事態宣言が発令され、準決勝と決勝は無観客で開催された。
観客のいないスタジアムに、歓喜の雄叫びがひときわ大きく響き渡った。11年前の88回大会決勝と同一カードで試合日も同じ。巡り合わせに導かれた対戦は、2-2でPK戦に突入。山梨学院の4人目、MF谷口航大(2年)のキックがゴールネットを揺らし、死闘に終止符が打たれた。長谷川大監督(47)は「選手たちの取り組みが報われて良かった」と喜びに浸った。
「10回戦って1、2回勝てればいい相手」に秘策を講じた。浦和に入団する青森山田DF藤原にマンマークをつけ、序盤は試合から消した。前半12分にMF広沢灯喜(3年)が先制に成功。逆転を許しても後半33分に追い付く粘りで「1回」を大一番に合わせた。
11年前の決勝は秋田商の監督としてテレビ越しに眺めていた。選手権優勝を夢見て教員を志し、18年に山梨学院の監督に就任。「情熱が一番必要」という熱き指揮官は2季目で日本一に導いた。
新型コロナの影響で全国高校総体が中止となるなど、活動もままならない日々が続いた。3年生には自分たちのプレー映像集を作ることで、強みと弱みを自覚させた。工夫を凝らし、選手の気持ちをつなぎ止め、進路の不安、プレーできない不安を取り除いた。FW野田武瑠(3年)は「自分たちを気に掛けてくれる」と指揮官に信頼を寄せる。
今大会は3度のPK戦を勝ち抜いた。決して強運だけではない。長谷川監督は「彼らの取り組み、コロナ禍でも我慢してきた思い、仲間への感謝、いろんなものが詰まっていた」と表現した。ウイルスの脅威に見舞われた、かつてない1年。その集大成が実を結んだ。