J1広島 実戦で体つくり4バックの新システム浸透へ 宮崎1次キャンプ総括
決して昨年がうまくいっていなかったわけではない。昨年10月28日の横浜M戦から8試合負けなし。最後は3連敗したものの、3連勝してもおかしくなかった内容だった。
だが、城福浩監督は「そのままの継続」という戦略を捨てた。前線からの圧力やボールを握ってギャップをつくる攻撃なども含め、コンセプトに変化なし。ただ、目指すサッカーにたどりつく方法として、システム変更に挑戦する決意を固めたのだ。
その形は今のところ、4-2-3-1。「今までの形に戻る可能性はあります」と指揮官は宮崎での1次キャンプ初日に笑ったが、8日間にわたって行われた練習では一度も3-4-2-1には戻さなかった。
新システムに慣れさせるために、指揮官は2日目から紅白戦を選手に課した。4バックにおける守備や攻撃のポイントなどをチームに植え付けるために、走りではなく実戦で体をつくる手法を選んだのだ。
この手法にはリスクがある。サッカーに必要なフィジカル能力はサッカーで鍛えるのがベスト。だが、オフ明けのまだ筋肉が起きていない状況で複雑系の運動が集積されたサッカーに取り組むと、筋肉系のケガに襲われる可能性がある。実際、ボールを使った練習で体をつくる手法をとるチームは存在するが、やはりケガと表裏一体になっているケースが多い。「走りならパワーをコントロールできるが、サッカーのゲームになると難しい」と池田誠剛フィジカルコーチは指摘する。
ただ、選手たちはプロである。「実戦中心のキャンプはわかっていたから準備してきました」とほとんどの選手が語ったように、実戦でケガを負った選手は1人もいない。順調にコンディションを上げ、1次キャンプ最後の練習試合(非公開・相手も非公表)では5得点。攻撃に人数を割きやすくなる新システムの優位性を示すことができた。
「タイトルのためには、新しい挑戦が必要」
城福浩監督のチャレンジ精神は、5日からスタートする2次キャンプの鹿児島でも続く。(紫熊倶楽部・中野和也)