FC大阪 夢のJリーグ入りへ完勝発進 開幕前急逝 疋田前社長に捧げる3ゴール
「JFL、FC大阪3-0FC刈谷」(14日、服部緑地陸上競技場)
今季の日本フットボールリーグ(JFL)が開幕し、大阪から3番目のJリーグ入りを目指すF.C.大阪はホームで、今季JFLに再昇格したFC刈谷に3-0で完勝した。
就任2年目の塚原真也監督(35)は「刈谷さんの情報がなかなかない中、トレーニングを考えてきた。その中でスピードだったり高さだったり、うちのストロングが出ればと、ここ2週間は想定してきた。そういった面が得点につながり、後ろが(失点)ゼロで、いい形で終わることができました。100点に近い内容だったと思います」と納得した。
シュート数はFC大阪の16本に対し、刈谷は0本。前半35分、CKからのクリアボールをDF舘野が左足で蹴り込み先制。後半9分にはMF久保が左サイドから突破してシュート。これはポストに弾かれたが、詰めていたFW田中直が押し込んだ。32分にはFW後藤のクロスを久保が左足でたたき込んだ。
特別な思いを込めるシーズンとなる。昨季8位でJ3入りを逃し、今季こその思いで始動した直後の2月10日、クラブが悲しみに包まれた。1996年のチーム発足から運営を見守り、J3ライセンス取得に尽力した疋田晴巳代表取締役社長CEOが急性劇症肝炎のため60歳で急逝。夢のJリーグ入りへ目前に迫りながら、その日を見ることはできなかった。
開幕戦、選手は疋田前社長の似顔絵入りのTシャツを着用して入場。前社長の美由紀夫人がキックインセレモニーを行い、選手は喪章を付けて戦った。
「優勝して昇格とは始動式でも選手に話した。その中で社長のことがあり、よりチームの一致団結というか『ほんまに行くんやで』という気持ちが現場だけでなくスポンサーの方々、スタッフ含め、全員がそういう気持ちになっている。それをプラスに変えていけたら」と塚原監督は力を込めた。
前社長の思いとともに勝負のシーズンが始まった。