女子サッカーのアンジュヴィオレ広島 なでしこ1部初挑戦 解散危機乗り越え創設10周年

 女子サッカーのアンジュヴィオレ広島が今年、クラブ創設10周年を迎えた。昨年は資金難からチーム解散の危機に見舞われたが、多くの支援を受けて存続が決定。今季は女子プロリーグ発足に伴うリーグ再編に伴い、初めてアマチュア最高峰のなでしこ1部リーグで戦う。愛媛との開幕戦は27日。節目となるシーズンへ選手の士気は高まっている。

   ◇  ◇

 決して恵まれた環境ではない。選手は全員アマチュア。昼間は仕事をしており、練習は午後5時ごろから始まる。自前の練習場がないため、普段は広島市西区のひろぎんの森グラウンドなどを借りている。着替えのための更衣室はなく、地面も硬い土のグラウンド。それでも新加入13人を含む27人の選手はいきいきと練習に励んでいる。

 昨年は3部相当のチャンレンジリーグ西地区で2年ぶりに1位になったが、ピッチ外ではコロナ禍による資金難が深刻となり、チームは解散の危機に陥った。地元・横川(広島市西区)では「応援プロジェクト」が発足。選手も自ら募金活動を行い、多くの市民や企業から救いの手が差し伸べられた。昨年12月から今年初めにかけて行ったクラウドファンディングでも約351万円が集まり、本藤理佐主将(27)は「多くの皆さんに支えてもらっている。恩返しするためにも結果を出したい」と意気込む。

 今年9月からスタートとする女子プロリーグ「WEリーグ」発足に伴い、なでしこリーグが再編。アンジュヴィオレ広島は初めて1部リーグに昇格することになった。アマチュア最高峰での戦い。結城治男監督(58)は「パスの精度、スピード、フィジカル…。チャレンジリーグとはすべての面で全くレベルが違う。厳しい戦いになる」と覚悟する。選手にはレベルアップを求め、より厳しい練習を課してきた。

 クラブ創設10周年を迎え、今季のキャッチフレーズは「頂10(CHOTEN)」に決まった。選手は「3位以内に入る」ことを目標に掲げているが、指揮官は「戦う以上は目標を高く持ってやる。3位以内の中でも一番高いところを目指す」と優勝の2文字を見据えてシーズンに挑む。

 WEリーグに参戦する「サンフレッチェ広島レジーナ」からも刺激を受ける。本藤主将は「プロチームができることで広島の女子サッカーがより盛り上がっていけばうれしい。自分たちも負けないように頑張って一緒に盛り上げていきたい」と笑顔を見せた。

 27日にアウェーで愛媛FCレディースとの開幕戦を迎え、ホーム初戦は4月4日のオルカ鴨川戦(広島広域公園第一競技場)。アンジュヴィオレ広島の新たな挑戦が始まる。

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