「Ｗ杯アジア最終予選、ベトナム０－１日本」（１１日、ハノイ）

　Ｂ組の日本は伊東純也（２８）＝ゲンク＝のゴールでベトナムに１－０で辛勝した。勝ち点９としてオマーンを抜き３位に浮上。２位のオーストラリアに同１差に迫ったが、総得点４は最下位のベトナムと並び同組最少と得点力不足が浮き彫りとなった。主将の吉田麻也（３３）＝サンプドリア＝は「点が入る雰囲気が足りない」と嘆いた。日本は１２日にチャーター機で敵地オマーンに入った。

　最終予選は結果が全てだ。敵地で勝ち点３を得た日本はノルマを果たした。その一方で、最下位ベトナムから１得点という物足りなさも残った。「点が入る雰囲気が足りない」。日本が抱える最大の問題点は、吉田の言葉に集約されている。

　総得点４はベトナムと並んでＢ組最少。得失点差＋１は、首位サウジアラビアと２位オーストラリアの＋５に大きく劣り、最終局面で得失点差の争いとなった場合、“致命傷”となる危険性をはらんでいる。

　ベトナム戦では前半１７分に伊東のゴールで幸先良く先制したが、その先が続かない。同４０分に再び伊東がネットを揺らしたが、取り消しとなる不運もあった。森保監督は「２点目は決まったと言ってもいい形ができていた」と力を込めたが、追加点を奪えなかったことも事実。得点力不足の具体的な解決策は提示できなかった。

　深刻なのはセットプレーだ。６本のＣＫから決定機と呼べるものはなかった。森保監督は「いろんな工夫をしながらやっている」と試行錯誤を強調したが、最終予選ではゴールに直結していない。吉田は「どうするか見い出せていない」と苦悩を交えて振り返った。

　森保監督が現役時代に経験した「ドーハの悲劇」では最終戦でイラクに引き分け、得失点差でＷ杯を逃している。得点力向上に必要なのは連係の熟成か新戦力の投入か。得失点差の重みを熟知している指揮官は、オマーンとの再戦で決断を迫られる。