FW古橋「夢であり目標」W杯まで1年、思い激白 森保監督と「一緒に行きたい」
サッカーのW杯カタール大会の開幕まで21日で1年を迎えた。スコットランド・プレミアリーグのセルティックに所属する日本代表FW古橋亨梧(26)が23日までにオンラインを通じたデイリースポーツの単独インタビューに応じ、W杯への思いを語った。7大会連続7度目の出場を目指す日本はアジア最終予選で2位に浮上。序盤の苦境を脱し、本大会への視界は開けつつある。「夢であり、目標でもある」自身初の大舞台への決意とともに、「W杯に一緒に行きたい」と日本代表の森保一監督(53)への厚い信頼を寄せた。
過酷な敵地での連戦を2連勝で制し、古橋の表情にも安堵(あんど)の色がにじんだ。自身初となる最終予選の重圧は想像を超えていた。
「やはりアウェー2連戦を2勝できたことは大きかった。1試合の重み、特別な雰囲気、プレッシャー。そういうものを味わえて、すごくいい経験になっている」
最終予選では全6試合に出場しているが、先発は1試合で、残りが途中出場と時間も短く、ゴールには至っていない。
「選んでいただいているのに結果を残せない自分にすごく悔しい。ゴールを決めるまで、本当に目の前まで来ていると思うが、そこが今の僕に足りていないところ。もうあと一歩、コンマ数センチの世界で戦っている。その一歩をつかめるように、セルティックで努力してゴールを取り続けて、代表でも結果を残せるようになると思っている」
4年に一度の大舞台は選手であっても立てる者が限られる。W杯とはどんな存在なのか。
「ずっと夢として持っていて、プロになって目標になって、少しずつ近づいてきた。必ず手にしたい、切符を手に入れないといけない。僕も小さい頃そうだったように、サッカーをやっている子供たちに『W杯に出たい。サッカー選手になりたい』と思ってもらえるような、お手本となる選手になりたい」
W杯の記憶は2002年、奈良で無心にボールを追っていた7歳までさかのぼる。
「日韓大会(ベルギー戦)で鈴木隆行選手が抜け出して、GKの手前でちょんと触ってゴールを決めた。それは印象に残っている。日本代表だと(10年)南アフリカ大会。デンマーク戦で本田圭佑選手と遠藤保仁選手のFK2本で勝った。すごいって思った。一番好きだったのはやっぱりスペイン。ダビ(ビジャ)、フェルナンドトーレスにアンドレス(イニエスタ)もいて、オランダと決勝を戦った(10年)あたりのスペインは見ていて面白かった」
W杯が飛躍の契機となり、さらなる世界が開ける可能性もある。
「まだ全く想像できないが、選んでもらえたら日本代表が1試合でも上に行けるように、まずは勝つこと。応援してくれる人の気持ちを背負って、攻守で90分間戦える選手になりたい。泥くさく、でも謙虚に、相手をリスペクトしながら、そうすることで選手としてもう一皮むけるんじゃないかなと思う」
今夏に海を渡り、神戸から欧州に戦いの場を移した。新天地では公式戦18試合13得点とゴールを量産しているが、決して順風満帆ではなかったと振り返る。
「全然まだまだ。決めるべきチャンスを外している場面も多い。自分らしいプレーが分からなくなったタイミングもあった。僕は小柄なので、相手につかまれて『痛いな』とかイライラしてしまう時もあった。でも少しずつ慣れてきて、プレーで返せばいい、それだけ嫌な選手、注目されている選手と思われているんだと前向きにとらえるようになった」
セルティックで感じる居心地の良さ。それには、あの“レジェンド”の功績が大きいという。
「みんなめちゃくちゃ優しくて親切で、僕を受け入れてくれる。やはり中村俊輔さんが日本人の良い選手像を植えつけてくれたおかげ。もう、すごいですよ。『俊輔はすごかった』『まだサッカーをやっているのか』とか至るところで聞かれる。だからこそ僕も俊輔さんの名に恥じないように結果を残して、次にセルティックに来る日本人選手がいるなら、それ以上に愛してもらえるように、居心地いい環境になるように、僕がやっていかないといけない」
初の海外挑戦の地に選んだグラスゴーでも“自分らしく”日々を送っている。
「本当にいい街。何でもあるし、人は親切でご飯がおいしい店もある。僕は予定がないと外に行かないタイプなので家にいる方が好きですが(笑)。午前中に練習があって、家に帰って週3回は英語の勉強で、ゆっくりする日もある。晩ご飯を食べて、体のケアをして、風呂に入って寝る。あまり日本にいる時と生活は変わらない。時差もあって見られることは少ないが、神戸と岐阜の結果はいつも気にしている」
最終予選は年内の日程を終え、来年1、2月のホーム2連戦を皮切りに残り4試合の佳境に入る。
「僕たちが一つになって戦えば絶対に勝ち抜ける。いい監督がいて、いい選手がいて、いいサッカーができる。選んでもらえたらチームが勝つためにプレーして、その次に結果を残せるようにしたい」
そして、自身を代表へと導いてくれた森保監督への信頼も口にした。
「いい準備をして、話し合って、勝つために必死で戦ってくれる監督。いろんな意見があると思うが、プレーするのは僕たち選手。『責任は自分が取るから』という言葉も聞く。だからこそ選手が結果を残すことで、少しでも森保監督の重い肩の荷が下りるんじゃないかと思う。W杯に一緒に行きたいし、応援してくれる人たちが喜んでいる中で、森保監督にも喜んでもらいたい気持ちがある」