「1チーム2カテゴリー」の強化が危機を救った 田中碧、三笘ら成長
日本代表は7大会連続7回目のW杯に出場する。1勝2敗の崖っぷちから大逆襲し、24日の豪州戦で“切り札”三笘薫(24)が2発をたたき込み、カタール切符をつかんだ。三笘を筆頭に新世代の突き上げがチームを強化し、8強以上の目標につながる。森保JAPANの予選突破の足跡を追い、11月の本番へ向け、期待の新戦力など、デイリースポーツ・サッカー担当が3回にわたって連載する。2回目は東京五輪世代の成長について。
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新型コロナウイルスによる世界の変化はサッカー界にも当然影響を及ぼした。森保ジャパンがW杯を目指す道筋で見れば、東京五輪の開催が1年延期されたことが挙げられる。従来であれば「23歳で五輪、2年後にW杯」という流れが「24歳で五輪、1年後にW杯」に変わった。
短期間でのA代表への融合が求められる状況に、兼任監督でもある森保一監督は両代表を別チームとは考えず「1チーム2カテゴリー」を提唱。五輪のオーバーエージ枠に吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航というA代表の主力を送り込むことでその傾向を加速させた。
東京五輪では目標のメダルには届かず4位。しかし「1チーム2カテゴリー」の強化が、後の最終予選の危機を救うことにつながったともいえる。
1勝2敗で迎えた昨年10月のオーストラリア戦。最終予選初出場となった五輪世代の田中碧が先制点を決めて流れを呼び込んだ。以後、先発に定着して6連勝。はっきりと定位置を確保した選手が田中1人というのは少ないとも感じられるが、負傷者の代役ながら3戦連続完封に貢献した板倉滉、24日のオーストラリア戦で2得点の三笘薫も勝負どころで存在感を示した。
予選を終えて吉田は「(A代表に)入って何も分からない状態じゃなくて、ある程度お互いのことを理解している。最初のスタートラインがそこにある」と振り返った。コロナ禍により、チーム構築の時間が限られる中で「1チーム2カテゴリー」の利点はあった。
板倉はW杯出場を決めた後に「日本サッカー界のこれからを考えても僕たちがもっと上の人たちを脅かす存在にならないといけない」と決意を語った。五輪組にはまだA代表で本領を発揮できていない久保建英、森保ジャパン発足時の主力でありながら今回招集外となった堂安律もいる。
8強入りを掲げる本大会まで残り8カ月。「もう一度選手の幅を広げる、底上げをする」と森保監督。23人枠をめぐる最終バトルで東京世代がどれだけ食い込めるか。兼任体制の成果が問われる。(デイリースポーツ・サッカー担当・奥村哲明)