INAC神戸が初代女王 9年ぶり国内リーグ制覇 高瀬「準備の質と量が違っている」
「Yogibo WEリーグ、相模原0-3INAC神戸」(8日、ギオン相模原スタジアム)
サッカー女子の国内初のプロリーグ「Yogibo WEリーグ」は首位INAC神戸がノジマ相模原を3-0で下し、初代女王に輝いた。15勝2分け1敗の独走で勝ち点を47に伸ばし、2試合を残して優勝を決めた。女子日本代表「なでしこジャパン」FW田中美南(28)が2得点。同MF成宮唯(27)も加点した。国内リーグ制覇は2013年以来9年ぶりで、黄金時代の再来を予感させた。
かつて「なでしこフィーバー」の中心だったINAC神戸が独走で初代チャンピオンに輝いた。戴冠の瞬間、ピッチ上の選手たちは控えめな感慨に浸ったが、副主将を務めるFW高瀬の掛け声を合図にベンチ前で歓喜の輪ができた。9年ぶりの国内リーグ制覇。光と影を知る主将のMF中島は「素直にうれしい」と目を潤ませた。
開始直後の前半8分に田中が左足で先制点。終盤には田中とMF成宮が立て続けにゴールネットを揺らし、優勝を決定付けた。
開幕前に岩渕真奈や鮫島彩ら所属26人中10人が退団するなど、前評判は決して高くなかった。昨年2月、11年から無敗でなでしこリーグを2連覇した黄金期の指揮官、星川敬監督を9年ぶりに呼び戻した。Jリーグ初代王者の川崎V(現J2東京V)で現役時代を過ごした星川監督は「初代」の価値を誰よりも知る。「今季、INACが打ち立てる記録全てが歴史になっていく」と伝え続けた。
昨年12月の皇后杯ではスタメン平均年齢16・3歳の日テレ東京Vメニーナに敗れ、2冠の可能性が消えた。下部組織のアマチュアに喫した敗戦に、安本卓史社長らフロントも交えて緊急ミーティングを開催。バラバラになりかけたチームはプロとして戦う意味を再確認し、立ち上がった。
澤穂希ら11年W杯優勝メンバーを多数抱えた黄金時代のように、大差で相手をねじ伏せた訳ではない。15勝の内、8試合が1-0の勝利。高瀬は「準備の質と量が(以前とは)違っている」と勝負強さの要因を分析する。
INAC神戸の復権を成し遂げた星川監督は「前回より今回の優勝の方が間違いなくうれしい」と喜びをかみしめた。「初代女王」の称号を手に、新たな黄金期を築き上げる。