清水・乾 117日ぶりJ1 後半出場で勢いもたらし引き分けに「感謝しかない」
「明治安田生命J1、清水3-3鳥栖」(31日、IAIスタジアム日本平)
清水が終盤、2点差を追い付き、3-3のドローに持ち込んだ。最下位ながら17位の神戸に勝ち点21で並んだ。C大阪から移籍した元日本代表MF乾貴士(34)が後半18分に途中出場し、攻撃陣を鼓舞した。鳥栖は2点リードを守れず、リーグ戦4試合ぶりの勝利を逃した。
万雷の拍手に迎えられ、清水に加入したMF乾が117日ぶりのピッチに立った。1点を追う後半18分から途中出場。C大阪に在籍していた4月5日の柏戦以来の実戦だった。
「感謝しかない」と再出発となる芝生の感触をかみしめた。左MFに入ると、後半30分には逆サイドからのロングボールを吸い付くようなトラップで足元に収めた。同45分の決定機ではシュートこそ阻まれたが、随所に存在感を放った。
4月の規律違反に端を発し、6月9日にC大阪を契約解除となった。練習すらままならない状況に「サッカーをやめようと何度も思った」という。心が折れそうな日々を支えてくれた人々がいた。元日本代表監督の岡田武史氏や愛息の励ましの言葉がサッカーに踏みとどまらせてくれた。
乾の投入が勢いを与え、チームは敗色濃厚の展開から引き分けに持ち込んだ。最下位の苦境は変わらないが、背番号33が明るい兆しを予感させた。「次はピッチで返していければ」。J1残留を恩返しとする。