岩政体制となるJ1鹿島 吉岡FD「非常に優秀な監督になる要素を持っている」
J1鹿島の吉岡宗重フットボールダイレクター(FD、44)が9日、オンライン取材に応じ、岩政大樹監督(40)の就任とレネ・バイラー前監督(48)の解任について語った。
吉岡FDの岩政体制についての一問一答は以下の通り。
-今後の方針について。岩政監督に期待すること
「まずレネさんに監督をお願いしたことで、皆さん欧州路線ということをすごく言われているが、これまでクラブとして欧州路線に行くということは一言もお話していない。ただ鹿島のサッカーを構築していく上で、現代サッカーの中心は欧州なので、そういった要素を取り入れないと取り残されることもあり、これまではブラジル人、日本人の監督でやってきたが、そこは選択肢としてもっと広く持っていいのではないかという考えのもとに、クラブのフィロソフィー自体は変えることなく、鹿島のフットボールをアップデートできる人材は誰なのかということで選んだ。方向性はこれまでと変えることなく、フットボールの中については、周りも変わっていくので、そこに合わせてフットボールを再構築していく必要があると思っている。岩政監督に関してはシーズン当初にかなり任された状況で指揮している。そこで彼のやり方や進め方、彼はすごく賢いので、レネさんがやりたいことも加味した上でチーム作りをしてくれていたので、やりたいこと、やることは理解している。代行と実際の監督は違う部分もあるが、方向性はある程度お互いに話は出来ているので、今後、彼の監督としてのキャリアはすごく良くなるものだと思っているし、彼が成長できる環境をクラブも整えたいし、一緒になって鹿島のフットボールを再構築していくことを期待している」
-今後の編成、補強について
「コーチングスタッフに関しては確かに足りていないので、岩政監督がやりやすい環境を整えたい。要望は来ているので、できる限り早く対応できるようにクラブとしては動いている。相手もあることなので丁寧に進めたい。補強に関しては、今のメンバーの能力を最大限発揮してほしいということも伝えているし、彼もそういう考えなので、現状は今いる選手たちの発揮率を上げながらチーム力を高めていきたい。エレケ選手に関しては近々合流する予定だが、レネさんの退任後にミーティングをもって、クラブの考え方を伝えているので、彼自身は鹿島の力になりたい気持ちに変わりはないので、早く合流して助けになりたいと言っている」
-岩政監督のサッカーについて
「コレクティブにチームを構築できると評価している。私自身考えていた鹿島の課題として攻撃陣に停滞感がある、崩し切れていない、停滞感がある攻撃だった。そこを何とか変えたいということでレネさんにお願いして。解決方法として縦に速く、ダイレクトに攻める形で、後は前線からのプレス、そういった部分はある程度やってくれると思う。なぜレネにしたのか、合流出来ない中で岩政代行監督としてどういったことを落とし込んで欲しいかは話をしていたので、それに対して彼なりの答えの出し方、導き方はやってくれた。ボールを奪って速くという部分はあるが、できなかった時にチームとしてどのように戦っていくのか、シュートカウンター含めできなかった時に誰がどのように動くのか、どこにどういう形で走るのか、彼自身は構築できていた。全体が連動した形でより良い攻撃が構築できると評価している」
-岩政監督が「交通整理」という言葉を使っていた
「レネさんもピッチの中で起こっていることに関しては、自分たちの判断で解決してもいいよと言っていたが、なかなか共通認識が薄れていた。特に前線のハイプレスはある程度整理されていたが、いけない時のミドルゾーンからの守備で少し共通認識ができなかった。攻撃に関してもある程度バリエーションを持ってやらそうとしていたが、選手たちのコミュニケーションだけで解決できない部分もあるので、むしろ岩政監督は交通整理をやりながら、最終的な判断はピッチの中の選手がするべきなので、まずは立ち返る部分を整理させて、選手たちがが戦い方、プレーの仕方を選択するのか、バリエーションは増えてくると思うので、彼はそういう力を持っていると思うので期待している」
-今季、岩政氏をコーチとして招へいした理由
「彼が鹿島を離れてからさまざまな経験をしていて、常に鹿島のことを気にしてくれていた。継続的に鹿島のことを把握している人材であり、久々に会って話した時に受けた印象として、選手の時は自分の考えを喋るタイプだったが、いろんな経験をして、聞いて相手が何を伝えようとしているのか、そういった部分が大きく変わった。彼自身が指導者としてより良くなる要素を、鹿島に加わることで、当然鹿島らしさを伝えることもできるし、フットボールとしてもより良いものにする指導者になると思って戻って来てもらった」
-選手が自分たちで局面を打破する部分も必要。選手に求めることは
「鹿島は常にタイトルが求められるクラブだが、まず目の前の1試合1試合を全力で戦うことが必要。ゼロベースで選手たちが考えてやることは難しい。しっかりとした形、フットボールの方向性を示してあげる、その中で逆にセオリーを崩していく臨機応変さがあれば、もともと持っていた鹿島らしさをまた出せることにつながる。こういった事態になったのは、レネさんの責任ではないと思っている。まず第一に私自身の責任であるとチームのミーティングで伝え、みんなに謝罪した。その中でこうなってしまったということで、みんなでより良く改善していくことにつなげないといけないので、全員で団結してやっていこう、それぞれが責任感を持ってやっていきたい」
-近年、監督交代が相次いでいる
「岩政監督は非常に優秀な監督になる要素を持っている。成長していくためにクラブのサポートは必要不可欠。彼がいい監督になれるようにクラブ全体で支えたいし、当然彼自身に長くやってほしいという願いもある。例えば彼自身の考え方だけでなく、クラブの考え方もあるので、一緒になって新しい鹿島をつくっていきたいと言ってくれているので、その考え方自体は30年やってきたクラブのポリシーと変わりないので、彼とより良いものをつくりながら、再び鹿島が評価されるような、タイトルを取り続けられるクラブに戻りたい」
-監督選考に勝てる監督、優勝経験ある監督と話していたが矛盾は
「シーズン途中に就任するのは、どの監督がやっても簡単ではない。彼自身は指導者としては当然タイトルを取ったことないが、選手としてタイトルを取ってきた経験値は高い。選手と監督は全く違うが、まずはそういった経験値があるということ、レネさんが合流する前の指導方法、考え方、立ち振る舞いを見ていたら任せても問題ない。現在の選択肢としては一番の選択。彼だけに全てをというよりは、一緒になってやっていくことができる、タイトルに近付いていける。天皇杯も残っているし、リーグ戦もあきらめていない。そういった経緯も踏まえて、途中からでも任せることができる指導者と考えて任せた」
-鹿島の土台をつくるためには負けても継続する忍耐力も必要
「どこまで我慢できるかということは、クラブ運営というか、チームを作っていく上での我慢する時期は必要になってくる。チームにはバイオリズムがあるので、一つの判断基準として、そのサッカーを続けることで良くなるのか、このままいくことが勝つことにつながらないのか、そこは一つ重要な視点だと思っている。このクラブは勝つことを求められていて、サポーターもスタジアムに勝ちを見に来ている。勝たなくてもいいことはこのクラブにはない。ただ、戦い方が将来の勝ちにつながる要因があれば、痛みというか、我慢すべきタイミングはどこかで必要だと思っている」
-補強について。選手層が薄いのではないか
「そこに関しては、シーズン当初から岩政監督とも話していて、いい選手はいる、いかに彼らの発揮率を上げてあげるか、そこが重要だと思っている。彼自身は最初から今のメンバーでも勝てると感じていたし、勝てなければ補強していくことは必要になってくるが、今は今いる選手たちの能力を信じているし、彼がよりよい力を発揮する組織を作ってくれると思っている」