史上最高のサッカー選手は誰か－。２年前に死去したマラドーナさんと、２９日に亡くなったペレさんの比較は時に論争となり、偉大さを語り合うこと自体がファンの大きな楽しみだった。

　ともに貧困からはい上がり、Ｗ杯で母国を優勝に導いて英雄となった。ブラジルのペレさんは４大会１４試合で１２得点、アルゼンチンのマラドーナさんは４大会２１試合で８得点。印象的なゴールを数多く残し、小柄ながら力強く創造性にあふれ、突出した技量を備えた共通点もあった。

　ＦＩＦＡが２０００年に２０世紀の最優秀選手を選考した際には物議を醸した。特別委員会はペレさんに決定したが、インターネット投票ではマラドーナさんが圧倒的に支持された。マラドーナさんには「ＦＩＦＡインターネット賞」が与えられる微妙な落としどころとなり、決着は見なかった。

　背景には生きざまの違いがある。ペレさんは品行方正なイメージを大切にし、慈善事業にも尽力。サッカー界の大看板にふさわしいと判断された。マラドーナさんは薬物や女性問題もついて回る破滅型の人生を歩み、それが大衆の共感を呼んで人気を得た面がある。

　母国の対抗心にあおられて批判し合うこともあった。だがペレさんがマラドーナさんを悼んで「君は比類なき存在。いつか天国で同じチームでプレーしよう」とつづったように、互いを認め合う間柄でもあった。最高の２人を惜しむように、今後も比較は続きそうだ。