岡山学芸館・高原監督が万感の涙 「やんちゃな子が多かった」20年の情熱結実
「全国高校サッカー選手権・決勝、岡山学芸館3-1東山」(9日、国立競技場)
決勝が行われ、岡山学芸館(岡山)が3-1で東山(京都)に勝利し、岡山県勢として初となる優勝を飾った。1-1の後半7分、MF木村匡吾(3年)のゴールで勝ち越すと、同40分にも木村がこの日2得点目を決めた。情熱を注ぎ込んできた20年。歓喜の瞬間、高原良明監督(43)はあふれる感情に目頭を押さえた。
「当初は国立の舞台に立つのも日本一を取りたいというのも、夢のまた夢の話だった」
2003年の岡山学芸館コーチ就任時は、部員が20人に満たず「やんちゃな子が多かった」と振り返る状態だった。トンボのかけ方もラインの引き方も知らない。「まずは立ち止まってあいさつすることを徹底して教えた」というのが夢へのスタートラインだ。
学校のグラウンドではなく空き地を使った練習。暗くなれば車のライトでピッチを照らした。生徒たちへは強い言葉も投げかけた。
一方で、指導者となってマイクロバスの免許を取り、遠方への試合でも自らハンドルを握るなど献身的に選手を支え、08年の監督就任時には「本当に(選手の生活態度なども)ガラっと変わってきた感じですね」という。
どんな時も失わなかったサッカーへの情熱。「毎年が本当に感動。悔しい涙を流す年もうれし涙を流す年もある。毎年が全然違う」と語る高原監督は、「135人で日本一が取れた」と全部員をたたえた。
そして「数多くのOBが涙を流した。そういった子たちの思いに、ちょっと恩返しができたら」。今まで流したどの涙とも違う感慨の中で、すべての教え子に感謝した指揮官。積み重ねた思いが日本一をたぐり寄せた。