岡山学芸館が初V プロ内定者0の“雑草魂”が岡山の歴史変えた 勝利導いた木村匡吾の2発

 後半、ヘディングシュートで勝ち越しゴールを決めた岡山学芸館・木村(撮影・伊藤笙子)
 優勝に歓喜の岡山学芸館イレブン(撮影・金田祐二)
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 「全国高校サッカー選手権・決勝、岡山学芸館3-1東山」(9日、国立競技場)

 決勝が行われ、岡山学芸館(岡山)が3-1で東山(京都)に勝利し、岡山県勢として初となる優勝を飾った。1-1の後半7分、MF木村匡吾(3年)のゴールで勝ち越すと、同40分にも木村がこの日2得点目を決めた。得点王には岡山学芸館のFW今井拓人(3年)ら5人が3得点で並んだ。東山は京都勢55大会ぶりの優勝を逃した。

 国立のピッチで力強く優勝トロフィーを突き上げた。試合終了の瞬間に全ての力を出し切り、倒れ込んだ岡山学芸館のDF井上斗嵩主将(3年)は「育ってきた岡山で、その岡山の歴史を変えることができて本当によかった。ちょっと誇りに思いたい」と喜んだ。

 試合前まで無得点の木村匡が2発で勝利に導いた。1-1の後半7分、左サイドからの折り返しに右足を振り抜くと、完璧なコースに突き刺さる勝ち越し弾。同40分には試合を決定づける豪快なヘディングシュートをたたき込んだ。「いや実感が…うれしいです(笑)」。自分でも信じられない、驚きの活躍だった。

 同校にとってはもちろん、岡山県勢としても初の頂点だ。高原監督は「岡山の少年団やこれからサッカーを続ける選手に『日本一を取れるんだ』と夢を与えられたら最高かな」と、地域の将来につながる意義ある戴冠を強調した。

 決してエリート集団ではない。木村匡は駒大、井上は日体大に進学予定で、プロ内定者はゼロ。ほとんどが街クラブ出身だ。対する東山の選手の多くがC大阪や京都などJクラブの下部組織で中学時代を過ごしたように、強豪と言われる高校とは一線を画す。キックオフ前には井上が「自分たちにはJクラブの出身はいないけど、まず気持ちで負けない」とチームメートを鼓舞したが、その持ち続けた反骨心が下馬評を覆す力となった。

 指揮官も「一つになれば強敵も倒せると証明してくれた」とたたえた。“雑草魂”でつかんだ栄冠。岡山学芸館が高校サッカー史に新たな1ページを刻んだ。

 ◆岡山学芸館 1960年創立の私立校。主な卒業生に、フィギュアスケートで北京冬季五輪団体銅メダルを獲得した小松原美里(倉敷FSC)や、女子テニスの日比野菜緒(ブラス)、井上聡(お笑い・次長課長)。野球部は春夏の甲子園に出場経験がある。

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