泉柊椰 神戸の三笘になる 同じ左ウイングが本職 卒論テーマは「三笘のドリブル」
30周年を迎えるJリーグの開幕を17日に控え、悲願の初Vを目指す神戸の注目即戦力ルーキー、MF泉柊椰(とおや、22)が15日、デイリースポーツの取材に応じた。W杯カタール大会でも大活躍した日本代表MF三笘薫(25)=ブライトン=に憧れ、びわこ成蹊スポーツ大での卒論テーマは「三笘のドリブル」。同じ左ウイングを本職とし、大卒1年目の三笘がマークした「13ゴール、12アシスト」を目標に掲げた。
今季初の本拠地ファンの前であいさつ代わりの鮮烈弾だった。4日、J3松本との実戦。右ウイングの泉は、自陣からの長いボールを後ろ向きで収めてターン。一瞬で相手DFを置き去りにして右足を一振り。ゴール左にシュートを突き刺した。
トラップ、ドリブルは三笘をほうふつ。それもそのはず、22歳の新人は大学4年間、三笘研究に尽くしてきた。
「集大成」と言う卒論のテーマは『ドリブルの技能構造』で、副題が『三笘選手との比較』。約100プレーの映像からデータを取り、仮説を立て立証。「僕との比較論文。いろんな先生が関わっている」とリポート用紙30ページを書き上げた。
「(三笘は)決定機につながるドリブルが非常に多い。相手を動かして逆に進み、すべてがゴールに向かっている。ドリブルにも抜くからくりがある」と現在、プレミアリーグを席巻する三笘を解明。「卒業論文の価値は僕のプレー次第で上がる」と自信の力作だ。
高校時、神戸ユースからトップ昇格できず、「武器がなければ消える」と痛感した。悩みを抱えて見たのが2017年天皇杯、筑波大2年時の三笘。仙台戦で2ゴールを挙げた華麗な姿だ。
「これだ!!」としびれた。三笘の映像を何千回と見た。大学では栄養学、体の使い方、試合の分析などを学び「考えること」でプレーが激変した。
スピードが強化され、30メートル走は3秒超から2秒9を切った。GPSで計測する時速は30キロ前後が、一流レベルの35キロ近くにアップ。「瞬間的にトップにもっていく。かわすドリブルが相手の背中を取り縦に運べるようになった」と成長。念願の神戸入団を勝ち取った。
三笘とは大学1年時、大学選手権で対戦。敗れたが、試合後「頑張れよ」と声をかけられた。「そこから目がハートです」と“恋心”は募るばかりだ。
本職は左ながら右サイドにも挑戦。タレントのそろう神戸で、18日開幕・福岡戦(ノエスタ)の即先発は難しいものの、今季のブレーク候補。吉田孝行監督も「(筋肉を)付けていけば海外でやるポテンシャルを持っている」と評価は高い。
夢は海外でプレーし、26年に米国・カナダ・メキシコの3カ国で共催されるW杯での日本代表入り。そのためにも「1年目から勝負」とキッパリ。必勝祈願の際の絵馬には「三笘超え!!」と書いた。
今季の目標は、川崎での新人時に三笘がマークした13ゴール、12アシスト。「3歳差で同じポジションだと、日本代表で三笘選手を超えないと試合に出られない。大きい目標だけど憧れをなくす瞬間を自分で作らないといけない。憧れだと絶対に追い越せない」。昨季13位から逆襲を期す神戸で野心満々の新人が起爆剤となる予感だ。
◆泉 柊椰(いずみ・とおや)2000年12月2日、大阪府八尾市出身。チーム歴は八尾太陽リンクスSC-柏田SC-ヴィッセル神戸U-18-びわこ成蹊スポーツ大。代表歴はU-16日本、U-19全日本大学選抜。神戸ユースの同期にDF小林友希(現セルティック)ら。174センチ、62キロ。