神戸・初瀬亮 “だんじり魂”とともに日本最強SBへ 代表復帰意欲「『お前は無理や』とか、言われても『俺はなる』」

 J1首位に立つ神戸で開幕からリーグ全4戦で先発フル出場するDF初瀬亮(25)が攻守で成長し、信頼を増している。14日、神戸市西区のいぶきの森球技場で鳥栖戦(18日・駅スタ)へ向けた練習後、デイリースポーツの取材に応じ、日本代表奪取への思いなどを熱く語った。大阪・岸和田出身、“だんじり魂”を胸に日本最強のサイドバック(SB)を目指す。

  ◇  ◇

 初瀬は変身した。20歳で日本代表に初招集された世代の出世頭が昨季は停滞。17試合の出場にとどまった。

 「このままやとあかん、何かを変えないと状況は変わらない」。守備の強度、走力をアップさせる必要性を実感。昨オフに知人の紹介を受け、最新の低酸素トレーニング「ハイアルチ」を取り入れ、東京に通った。

 「ハイアルチ」は高地空間を作り細胞レベルで強化するのが目的。長距離走など陸上競技者が活用している。初瀬は同プログラム開発者の新田幸一(しんでん・こういち)氏に直接、メニューを組んでもらい肉体改造した。

 「技術的なことは問題ない、キックの精度はJでも通用する。その中で自分に何が必要かと。前に行って戻ってもう一回前に行くとか、守備での強度、走力的なところが必要だとの分析になった。ハイアルチは低酸素のトレーニングで限界まで追い込んだ」。

 本当に過酷な日々だった。「東京で乳酸爆発、酸欠で帰れなかった。本当にトレーニングが終わったら1時間半くらいふらふらで倒れる状況まで追い込んだ。行きたくなかったですもん。でも、自分のためやと思って。そのトレーニングが効いた」と言う。

 オフの2カ月、ボールを使わず、ひたすら走力強化に没頭した。「ポジション柄、何が必要か。スプリントが何回必要か、持続的に走る体力。サイドで必要なのは行って帰ってとか、乳酸をうまく逃がさないといけない。爆発的に走れる、乳酸をすぐ逃がす、乳酸に強くなるのは必要というのを優先的にやった」とぶれなかった。

 今季は開幕から先発をつかむとリーグ戦全4試合フル出場。走行距離、スプリント回数ともに高いレベルをキープする。「守備の強度はみんなが見て思うくらい上がったと思う」と実感。FW武藤嘉紀の勧めで練習前には1時間以上も下半身をメーンに筋力トレを行うようにもなった。

 「よっちくん(武藤)と会話して、亮はもっとガツッとしたプレーが必要なんじゃないかと指摘ももらった。出力を出せればもっとよくなるとアドバイスをもらった。練習でも体が動くし、感覚はすごいよくなった」と、助言は効いた。

 18歳時、堂安律(現フライブルク)らとともにG大阪とトップ契約。2017年、“世代最速”で日本代表にも選ばれた。「ガンバでは若さでできていた。それじゃ通用しないと神戸で実感した。神戸というチームはいろんな経験している人がいっぱいいる。なんとなく自分でおれにはおれの良さがあると思っていたけど、それでは上がっていけない。自分の強みもそうだけど足していく肉付けしていくことが大事だと。『自分に常にベクトルを向けるのもいいんじゃないか』とサコくん(FW大迫勇也)にも言ってもらった」と、タレント軍団の神戸で多くを吸収した。

 すべては再び日の丸を背負うためだ。15日には第2次森保ジャパン始動となるウルグアイ戦(24日)、コロンビア戦(28日)のメンバー発表が行われるが、初瀬の代表への思いは半端ではない。

 「首位でこのまま神戸がいけば、自分も目指している代表というのが見える。それ(代表)しか考えていない。口に出していかないと。かなうものもかなわない。誰に何を言われても関係ないし『お前は無理や』とか、言われても、『俺はなる』と言い聞かせながらやるのが重要。毎試合毎試合、自分のすべてが出せるように準備したものが最終的にそこになる」。

 代表では世代交代のサイドバックは注目。

「自分が、としか思っていない。我(が)を出していいと思う。なりたいためには何をしたらいいかを考えないとそこにたどりつかない。長く代表でやってきた選手が33、34、35歳になった。譲ってもらうんじゃなしに、俺たちがはねのけていかないと。しがみついてでもやらないといけないと思っている中で、自分は去年、悔しいシーズンになったので、自分は今年やってやるという思いが強い。すごい選手らを引きずり出していくのが今まで選ばれていない選手の役目だと思うし。焦らすくらい、あいついいな、と思わすくらい自分を表現できればと思う」と決意。持ち味は左右どちらでも蹴れるキック。中村俊輔氏にあこがれて磨いた精度の高いクロスは魅力だ。

 闘争心の原点は故郷の大好きなだんじり祭り。自身も小6までだんじり(地車)を引いた。昨秋も祭りを見に故郷に戻り、「ええ祭りやなと思う。学校も休みになるくらいなんで何百年も続く祭り」と心が震えた。

 今も“だんじりファイター”の父・厚至さんは覚悟を求める人だ。中学進学時、サッカーかだんじりか選ぶように迫られ、初瀬はサッカーに専念した。その父に言われた。「悔しかった分、しゃがんだ分、高く跳べると言っていた。高く跳べる準備を今していたと考えよう」

 神戸のタイトルへ、そして夢の代表いりへ逆襲スタート。「ここからだと思う。メラメラ燃えながら、毎日の練習に励む。生き残るには結果を残さないと。ハングリーなところを見せたい」と意気込んだ。

 ◆初瀬 亮(はつせ・りょう)1997年7月10日、大阪府岸和田市出身。小1でサッカーを始め、中学からG大阪アカデミー所属。2015年11月、堂安律(現フライブルク)らとともにG大阪トップチーム昇格。17年11月、日本代表に初招集された。19年、神戸に完全移籍。昨年4月2日、京都戦でJ初得点。左右で蹴れる精度の高いキックが武器。あこがれは中村俊輔。180センチ、70キロ。既婚。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サッカー最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    スコア速報

    ランキング(サッカー)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス