神戸 前川の〝恩返しセーブ〟で堅首 広島育ちの〝親子鷹〟GKが元日本代表の父の教え体現
「明治安田生命J1、神戸2-0広島」(13日、ノエビアスタジアム神戸)
首位の神戸はGK前川黛也(28)の活躍で広島との上位対決を制し、勝ち点29とした。広島は3連勝を逃し、同23のまま。札幌はMF浅野雄也らのゴールで湘南を4-2で下し、今季初の2連勝で勝ち点19。横浜FCは柏に1-0で競り勝って2勝目を挙げた。
“親子鷹”GK前川が父・和也氏の教えを胸にJリーグ30周年記念マッチの主役になった。開始10秒いきなりのピンチ。広島MF川村にシュートを浴びたが左足1本で止めた。
1-0と先制した後半、猛攻を浴びたが好セーブを連発。ゴールを最後まで割らせなかった。上位対決を制し首位死守。今季8回目の完封勝利とリーグNo.1の堅守をけん引する。「僕自身、我慢のできるGK。大事な局面で止めるからこそ流れを引き寄せられる。勇気を持ってやれた」と満足顔で振り返った。
広島出身で広島のアカデミーで育った。「広島は特別。見てくれている人も多い。プレーで姿勢を見せられたし、感謝をプレーで表現できた」と故郷へ“恩返し”を込めた。
父も元日本代表GK。Jリーグ発足時、広島で守護神として活躍した。前川が中3でGKに転向後、父と近所の公園でマンツーマンでの猛特訓を受けた。
「公園でずっとやってきたのが僕の財産。(父には)お世話になりました。『継続は力なり』という言葉を小さい頃からずっと言われていた。こつこつやってきた結果、いまフィールドに立てている」。30年前、父の世代が築いたJリーグを立派に受け継いでいる。
勝利後のインタビューでは「お父さんの時代から30年間、積み上げた人たちがいるおかげで僕たちはプレーできている。感謝を持ってプレーすることが大事」と張り上げた声が裏返った。「初めてのヒーローインタビューで息継ぎを忘れちゃってうまくしゃべれなかった」と苦笑い。父同様に愚直で愛される人柄がにじんだ。