イニエスタが「アリガトウ」 神戸退団セレモニーで何度も涙 神戸に日本に感謝「私達の人生の一部。また会いましょう」
「明治安田生命J1、神戸1-1札幌」(1日、ノエビアスタジアム神戸)
同戦を最後に神戸を退団する元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)が先発出場し、後半12分に交代。日本ラストマッチを終えた。試合は引き分けに終わった。
試合後の退団セレモニーでは、照明が消され、ファンのもつペンライトの光が広がるスタジアムに登場。スポットライトに照らされたマイク前に立つと、すでに涙が頬を伝っており、何度もぬぐった。
神戸の三木谷浩史会長からは刀がプレゼントされ、がっちりと抱き合った。最愛の家族とも記念撮影を行い、5年間のイニエスタのプレーがまとめられた記念映像が流された。
スピーチでは涙を流しながら「5年前に神戸にきました。その時にはこの旅がどれだけ美しく感動的になるか想像できなかった。大切な思い出として持ち帰っていくのは、1日目から示してくれた愛情とリスペクト。家族を代表して感謝したい。自分の家を離れて、遠く離れたところで我が家のような感覚は普通感じられるものではない。それを感じることができた。本当に感謝しています。本当に皆さんは私達の人生の一部分です」と、神戸の街、人々への感謝を口にした。
主将も務め、天皇杯のタイトルももたらしたこの5年間。チームは現在、リーグで優勝争いも繰り広げている。「2018年に来た時、このクラブをより大きなクラブにすると約束した。果たすことができたと感じている。自分がこのチームに感じた誇りを、皆さんが感じてくれることを願っている」とうなずき、「最後の数カ月はとても苦しい時期でした。ピッチの上でプレーしながら引退したいという思いがあり、その気持ちに従って、次の一歩を踏み出そうと思います」と、改めて日本を離れる理由を語った。
そして「自分はここに来たときよりも選手としても人としても成長した。チームメート、スタッフ、ここにいるファンの皆さん、Jリーグすべての人に感謝したい。皆さんのおかげで成長し続けることができました。チームを支えていってほしい。後半戦、皆さんの支えが必要になります。自分も離れたところからチームに力を送りたいと思います」と、ヴィッセルにエール。「お別れを言う日がきたが、さよならは好きじゃない。また会いましょう。日本に戻ってきますし、ここは自分たちにとって我が家のような場所です。(日本語で)アリガトウゴザイマシタ、ミナサン」と、締めくくった。
その後、サポーターの前に進み、鳴り響く自身の応援歌に涙。さらに、自身が大きく記されたフラッグを見つめ、拍手を送った。
イニエスタはこの日、司令塔のトップ下で今季初先発。見せ場は0-1の前半35分、フリーキックをペナルティーエリーア左奥に放り込み、折り返しからビッグチャンスを演出。その直後、左サイドでMF汰木康也とワンツー。そのままペナルティーエリア内にドリブルで切り込み、右足でシュートを放った。相手DFに阻まれたが、一瞬の切れ味で酔わせた。
日本を酔わせた“魔法使い”は後半12分に交代。サポーターからは万雷の拍手の中、手を挙げて応え、ピッチを後にした。5年に及ぶ神戸での一時代に終わりを告げた。