小野伸二 今季限り引退「“足”がそろそろ休ませてくれと…」 12・3の古巣・浦和戦を最後に
サッカー元日本代表でJ1札幌のMF小野伸二(44)が27日、今季限りでの現役引退を表明した。自身のインスタグラムで「今シーズンを最後に、プロサッカー選手としての歩みを止めることを決めました」と記し、クラブ側も正式発表した。引退会見は、12月3日の今季最終戦である古巣・浦和戦(札幌)以降に設定される予定だ。
自身44歳の誕生日に、自らの決断を公表した。インスタグラムには「サッカーと出会い39年間もの間、僕の相棒として戦ってくれた“足”がそろそろ休ませてくれというので、今シーズンを最後に、プロサッカー選手としての歩みを止めることに決めました」とメッセージをつづった。
栄光と苦闘のサッカー人生だった。清水商(現清水桜が丘高)を経て98年に浦和へ加入。「天才」と称された華麗なプレーですぐに注目を浴び、同年に日本が初めて臨んだフランスW杯に、今もなお日本の史上最年少記録となる18歳で出場を果たすことになった。
翌99年には世界ユース選手権(現U-20W杯)での準優勝に貢献。同大会でともに戦った稲本潤一、遠藤保仁、高原直泰らと「黄金世代」と呼ばれ、小野はW杯3大会連続出場を果たすなど、日本サッカーをけん引した。
だが、シドニー五輪予選で左膝靱帯(じんたい)を断裂を負って以降は故障の影がつきまとう。オランダ1部フェイエノールト、ドイツ1部ボーフムでもプレーし、14年に札幌に加入。近年は試合から遠ざかる時間も増え、今季もここまで天皇杯での2試合の出場にとどまっていた。
「“足”がそろそろ休ませてくれというので」という言葉に、泥くさくも美しく、そして自身の限界まで全力で戦ってきた小野のプロ人生が表れていた。
今季もリーグ戦は残り6試合。小野は「まだシーズン残り数試合ありますが、僕も試合に少しでも関われるように変わらず良い準備をしていきます」とピッチへの意欲を語る。
そして今季最終戦がホームで、プロ生活の第一歩を記した古巣・浦和との一戦というのも“サッカーの神様”の粋な演出だろうか。「第二の故郷だと思っている」と話した札幌で、そして両チームのサポーターからの声援を背に受け、「天才」小野伸二が最後の輝きを見せることになるかもしれない。
◆小野伸二(おの・しんじ)1979年9月27日生まれ。44歳。静岡県沼津市出身。清水商時代から「天才」と呼ばれ、プロ入りの際にはほぼ全チームからオファーを受け、98年に浦和加入。99年ワールドユース(現U-20W杯)ナイジェリア大会で準優勝。01年からオランダ1部フェイエノールト移籍。06年に浦和へ復帰し、J1と天皇杯の2冠。ボーフム-清水-ウエスタンシドニー-札幌-FC琉球を経て21年に札幌復帰。W杯は98、02、06年の3大会出場。国際Aマッチ通算56試合6得点。J1通算206試合29得点。175センチ、75キロ。家族は千恵子夫人と2女。