J2町田がクラブ史上初J1昇格 プロ転向1年目の黒田剛監督が導いた 元青森山田監督、Jでも「勝者のメンタリティ」健在「選手が勝利のために誠実に」
「明治安田生命J2、熊本0-3町田」(22日、えがお健康スタジアム)
J2首位の町田が熊本に3発で快勝し、8月以来の2連勝で初のJ1昇格を決めた。
勝てば無条件でクラブ初昇格が決まる一戦を制した。黒田剛監督はアマチュアからプロに転向して1年でJ1に導いた。
前半44分には青森山田でも教え子だったMF宇野禅斗が右足で強烈なミドルシュートを突き刺し、先制点を奪った。1-0とリードして折り返すと、後半7分にはMF高橋大悟が追加点。同16分にはMF下田北斗が2戦連発でチーム3点目を決めた。
黒田監督は1995年から22年まで青森山田高の監督を務め、全国高校選手権の優勝3回、準優勝3回など実績を残してきた。「長きに渡り培ってきた『勝者のメンタリティ』はどのカテゴリーであっても、失われるものではないと信じている」。就任の際にはプロでの指導経験がない部分を不安視されたこともあったが、言葉通りぶれることなく自身のやり方を貫いた。
青森山田の指揮官時代から武器としてきた戦術のロングスローはJ2でも迷うことなく効果的に使った。この試合でもロングスローから相手ゴールに迫る場面もあった。またリーグ3番目に少ない失点と安定した守備を構築してきた。
2018年10月にはIT大手のサイバーエージェントが町田の筆頭株主となった。クラブハウスなど練習環境の整備に加え、スタジアムも改修。ピッチ内外でクラブに変革をもたらしてきた。
この日のスタメンにはすでに現役引退を発表している元日本代表DF太田宏介が名を連ねた。U-22日本代表の米国遠征を負傷で辞退していた平河悠は途中出場。アウェーながら町田らしさを発揮し、3試合を残してJ1昇格を確定させた。
試合終了のホイッスルが響くと、ピッチ内外に歓喜の輪が広がり、スタンドではサポーターが涙を流した。来場したサイバーエージェントの藤田晋社長も満面の笑みで記念Tシャツに袖を通した。
黒田監督は試合後のインタビューで赤くなった目で「なんというか、この1年間、きょう戦った選手だけでなく、ベンチ外の選手も含めて1人たりとも離脱、脱線することなく、チームの勝利のために誠実に向き合ってくれた。J1昇格、町田の歴史を変えることに、気持ちを込めて戦ってくれた。感謝の思いでいっぱいです」と語った。