町田 初J1昇格決めた 高校サッカー名将・黒田監督プロ初挑戦で涙「生きた心地がしなかった」
「明治安田生命J2、熊本0-3町田」(22日、えがお健康スタジアム)
首位の町田が2位以内を確定させ、J1初昇格を決めた。熊本を3-0で下して勝ち点を78に伸ばし、3試合を残して自動昇格圏内を確保した。J1初昇格チームが誕生するのは、2017年にJ2で2位となって翌シーズンにJ1を戦った長崎以来。最下位の金沢は0-1で山形に敗れ、J3降格圏の21位以下が確定した。
歓喜の瞬間、両手を天に掲げた。全国高校選手権で青森山田高を3度の優勝に導いた名将で、プロ初挑戦した町田の黒田剛監督の目には涙。「ここ1週間は重圧で生きた心地がしなかった」と感慨に浸った。
0-0の前半37分、ゴールネットを揺らされたが、オフサイドの判定でノーゴール。7分後「高校からお世話になっている」という青森山田高出身のMF宇野が目の覚めるようなミドルシュートを決め、主導権を握った。
強烈なファウルや時間稼ぎなどのプレーへの批判的な意見もあり「高校とプロは違う」という声も届いた。それでも自他共に認める「負けず嫌い」はぶれない。試合当日のミーティングはプレゼン用ソフト「パワーポイント」にびっしりと文字を埋めて30分以上も熱い言葉をかけた。
高校の監督時代も生徒がたばこを吸うなど荒れていた部を立て直した。わずか数センチでも寄せが甘くシュートを打たれると、練習を止めて高校生を怒鳴り散らしたこともある。「目標は優勝」と試合後の胴上げを断った顔は、勝負師そのものだった。
◆町田ゼルビア 1977年に町田市の小学生選抜によるFC町田トレーニングセンターが発足し、89年にトップチームが誕生。2009年から日本フットボールリーグ(JFL)に参戦し、12年に初めてJ2で戦う。18年にIT大手サイバーエージェントが経営権を取得し、19年にJ1の参加資格となるクラブライセンスが交付される。チーム名は町田市の木のケヤキ(ゼルコバ)と花のサルビアを合わせた造語。