１１月１１日に３年目のシーズンが開幕する女子プロサッカーリーグ「ＷＥリーグ」。けん引するのは２２年９月に２代目チェアへ就任した高田春奈チェア（４６）だ。実業家としての会社経営、そしてＪリーグクラブの経営も経験。今後の女子サッカー発展を託された若きリーダーの人物像に迫り、女子プロリーグの未来像などを聞いた。

　－国際基督教大時代の目標は。

　「漠然と社会の役に立つ仕事がしたいと思っていました。ただ、あまり企業で働くとか、お金もうけをするとかっていうことに全然興味はなくて。普通に就職活動はしようと思っていたんですよね。社会貢献してる企業を、業種を限定せずにピックアップしていて、ソニーとご縁があったという感じです」

　－ソニーでは実際どのような仕事

　「自分としては人を支えるところがという話はしている中で秘書とか人事という仕事が巡ってきました。人事に入ってから組織のこと、採用のこと、労務のことと一通りやしました。最初は人材育成でしたね」

　－今に生きていることは。

　「エンジニアの会社ですけど、マネジメントやコミュニケーション、考える力を養う研修などいろんな研修ってあるんだなと知って。人はスキルがあるだけでは駄目なんだなとすごい感じました。サッカーもそうじゃないですか」

　－その後は父・高田明氏の経営するジャパネットたかたの関連会社としてジャパネットソーシャルキャピタルを設立した。

　「私の父がやっている会社も人々の生活を豊かにするっていう意味で社会の役に立っている会社だと思っていて。ソニーはもう大企業として安定している。父の会社は当時、成長真っ盛りみたいな感じで。人の問題とか本当リアルに悩んでいた。それならば自分の人事としての経験を父の会社みたいな今成長しているところに費やしたら、もっと（社会への）貢献度合いが高くなるんじゃないかなと。とはいえ父の会社で父と一緒に働きたくはなかったので（笑）。独立して関連会社にさせてもらいました」

　－早い段階で経営者の道をスタートさせた。不安はなかったか。

　「最初は私と妹だけで立ち上げた会社だったんですよね。でも大きいことやっていこうと思うと仲間がいないとできない。それから人数増えていったときに、やはりチームとして動くということ、自分がやるだけじゃないんだなと。人数が増えて規模が大きくなって行く中で勉強しながらやっていました」

　－東大の経済学部で学んだのもこの時期。

　「会社をつくった時に、あまりにも会社の経営のことがわからないから経営学の勉強しようって思って。日本にいて仕事しながら学べる場所というので、たまたまご縁がありました」

　－そして広告代理店の会社も作っている。

　「父の会社が媒体を使ってショッピングをする会社なので、その媒体の枠を放送局さんから買うという仕事が代理店としてあって、会社としてやらせてもらうことになりました。人事の会社ともう１つ、エスプリングアジャンスという会社をつくってホールディングス化しました」

　－今までやってきたことと全く違う分野。

　「今考えると、経験もないのにできんのかって思われるんでしょうけど、あんまり他人からどう思われるか考えてなかったですね。こういうことが課題だから、ここでやっていかなきゃと、ゼロから作った感じです」

　－経験がないことへの挑戦は抵抗がない。

　「あまり抵抗ないっていうか、やはりやりがいというか、それをやる価値があると自分が納得できるかどうか。それは結構考えてやると決めています。そのためにこの知識が足りないから学校へ行こうとか、そうして埋めていく感じです」

　－ここから一転してサッカーへ携わるようようになった。

　「２０１７年にジャパネットグループの中にＪリーグのＶ・ファーレン長崎が１００％子会社に入りました。その時、１００％子会社化するときの人事的な手続きとかを私はやったんですよ。そういう手続き周りのところを最初はやっているだけだったんですけど、翌年にＪ１に上がった時に、そもそもクラブを回すこと自体もめちゃくちゃ大変だとなって、本当にクラブ経営とかもやったことないくせに、誰かやんなきゃいけないから、もうじゃあ、誰もやらないから私やる！と言ってやり始めました」

　人事や広告代理店を起業し、実業家として歩んでいく中でサッカーとの関わりが始まり、２０年には父・明氏の後任としてクラブの社長に就任。そしてＷＥリーグチェア就任の道へとつながっていく。（後編へ続く）