「Ｗ杯アジア２次予選、日本代表－ミャンマー代表」（１６日、パナソニックスタジアム吹田）

　日本代表は１４日、大阪市内で合宿を行い、代表再招集のＧＫ前川黛也（２９）は“三度の正直”で、元日本代表ＧＫの父・和也氏（５５）と親子２代での代表出場へ意気込んだ。

　２１年の初代表では出番なし。前回の１０月は左手の負傷で離脱した。その後、森保監督がＪリーグを視察し、痛みを抱えながら気迫で勝利を導く姿を称賛。代表に再び招集した。前川は「また僕のプレーを見てもらって選んでもらえて光栄。誰にでも何歳になってもチャンスはある。そこに対しての目指す努力はできると思っている。」と、今度こそ期待に応えたい思いだ。

　父子２代で日の丸ゴールを守る夢へ“三度目の正直”だ。１９９４年の“ドーハの悲劇”、目前でＷ杯出場が断たれたアジア最終予選で父・和也氏はメンバーだった。「（父から）すごくプレッシャーを感じていたと聞いた」と、息子は言葉を胸に刻んでいる。

　本大会につながるアジア２次予選。相手は格下のミャンマーでも油断はない。「僕自身、安易な気持ちで臨めない。日本の代表として誇りはしっかりもって臨まないと、行動しないといけない。普段なら勝てる相手に勝てないのは小さい頃からテレビで何回も見てきた」とうなずいた。

　Ｊ１で首位に立つ神戸の守護神は今季、リーグ戦にフル出場し、堅守をけん引。定評のあるセーブ力もＦＷ大迫、武藤ら一流のシュートを受け磨かれた。

　前節１２日の浦和戦では絶妙キックでＶ弾を呼んだ。１－１の試合終盤ロスタイム、相手ＧＫが攻撃参加する中、相手ＦＫを直接キャッチ。前線に残ったＦＷ大迫勇也にパントキックでドンピシャのパス。大迫が無人のゴールに蹴り込み、初優勝へ王手をかける勝ち点３をもたらした。

　試合後はオフサイド論争が湧き起こっているものの、前川のキック精度が高かったのは確か。「笛が鳴るまで気持ちを切らさずにゴールを目指した結果。僕自身も下手ながら常に意識して、積み重ねながらやってきた過程。地道な継続は続けて、ＧＫでもゴールに結びつくボールを狙っていく」と胸を張った。

　“親子鷹”ながら、決してエリート街道ではない。中学、高校とベンチ外となることも多く、日本代表の夢を語れば周囲から笑われたこともある。

　「全然実力なくて試合にも出られない中でもサッカーノートは付けていた。常に代表は意識してきた。そういうＷ杯に出たい思いは周りは笑っても、常に目指して続けていた。中学、高校、プロになってもスタメンじゃなく、ベンチ外だったり、シンデレラストーリーじゃないけど、地道にやってきた結果。そういう出られていない時期があるから今がある。そういう時期に笑ったり馬鹿にしたりした人にはざまあみろとは思わないけど、こういう選手でも目指せばこういうところに来られると証明できたのかな」。飛躍を遂げた１年、その“雑草魂”を代表でも存分に発揮する。