上田綺世がハットトリック “ポスト大迫”任せろ「正直ホッとしている」 記念球は闘病中という妻の友人へ
「W杯アジア2次予選、日本代表5-0ミャンマー代表」(16日、パナソニックスタジアム吹田)
8大会連続出場を目指すB組の日本がミャンマーを5-0で下し、快勝発進した。多くの選手がゴール前を固めるミャンマーに対し、ゴールをこじ開けたのはFW上田綺世(25)=フェイエノールト=だ。前半11分に頭で先制点を奪うと、前半終了間際にもシュートを決め、さらに後半開始早々にもゴールを奪ってハットトリックを達成。存在を強烈にアピールした。21日にはサウジアラビアのジッダでシリアとの第2戦に臨む。
26年W杯北中米大会へ、白星発進を決めた。その立役者は上田だ。前半11分。背後から南野の浮き球のパスをヘディングで押し込み先制点。同49分、後半5分にもゴールネットを揺らし、ハットトリックを達成した。「正直なところホっとしている。それは個人的な結果もそうだし初戦に勝てた。3点ともどれもよかった」。離脱者が続出した中でも確かな存在感を見せた。
特に先制点は想定通りだった。序盤は守備時に最終ラインを5、6枚で固める相手を思うようには打開できなかったが、高さでゴールをこじ開けた。「重要なポイントだった」。今回招集された攻撃陣で最も高い182センチの身長。その武器を生かした。
昨年のW杯カタール大会にはメンバー入りしたが、出場は1試合に終わるなど力不足を痛感していた。今季はオランダ1部のフェイエノールトに移籍してステップアップ。「成長してる自負がある」と空中戦はもちろん、常に厳しい相手と戦いFWとしての総合力を高めた。
意識するエースの姿もある。前回大会の2次予選ミャンマー戦ではJ1鹿島の先輩でもある大迫勇也(神戸)が1試合5得点を決めるなど、計3試合8得点で代表の1トップに君臨していた。現在まで“ポスト大迫”の存在も求められてきた日本代表。上田は「FWの本質は点を取って勝たせること。そこ(大迫)に近づければいい」と目標の一つとしていただけに、この試合では必要だった結果を残した。
試合後の取材対応エリアに現れた上田の手には「ハットトリックの記念にもらいました」と、チームメートのサインが入った試合球があった。闘病中という妻・菜月さんの友人に、そのボールを送り、勇気づけるという。
FWでは前田や古橋と言ったライバルが離脱し、定位置をつかむチャンスで猛アピールに成功した。しかも、W杯2次予選という公式戦で、だ。「自分の中でもチームとしてもいいタイミングだった」。上田が日本代表の中心に君臨するための大きな一歩を踏み出した。
◆日本代表でのハットトリック 上田が通算24人目、38度目の達成。前回は2021年6月15日、W杯アジア2次予選のキルギス戦でオナイウが3得点。過去には釜本邦茂が8度、三浦知良や岡崎慎司が3度ずつ達成している。