近江 V候補から大金星 鵜戸瑛士ロスタイム劇弾 前田監督「もう1点と取りにいった結果」
「全国高校サッカー選手権・準々決勝、近江4-3神村学園」(4日、浦和駒場スタジアム)
準々決勝4試合が行われ、近江(滋賀)が優勝候補の一角である神村学園(鹿児島)を4-3で下して同校初、滋賀県勢では2005年度の野洲以来となるベスト4進出を決めた。青森山田(青森)は昌平(埼玉)に4-0で勝利。市船橋(千葉)は勢いに乗る初出場の名古屋(愛知)を2-1で退けて12大会ぶり、堀越(東京A)は佐賀東(佐賀)を2-1で破って初の4強入り。準決勝の近江-堀越、青森山田-市船橋は6日に行われる。
終了目前での劇的な幕切れ。近江の“下克上イレブン”が勝利の瞬間、ピッチ上で喜びを爆発させた。前田高孝監督(38)は「最後まで諦めず、もう1点、もう1点と取りにいった結果」と選手をたたえた。
壮絶な点の取り合いとなった。前半12分にMF鵜戸瑛士(3年)のゴールで先制。だが神村学園に2点を奪われて前半を折り返した。その劣勢ムードを変えたのは、前半22分から途中出場したMF山本諒(2年)だ。
後半13分に右からのクロスに頭で合わせて同点とし、1点を勝ち越された後半26分には右CKを再び頭で押し込んでの同点弾。山本の「ヘディングが得意なわけではないが、頭を出してゴールにつながればという気持ちだった」という気迫の2発がチームを救った。
後半は神村学園を圧倒した近江。そして同点の後半43分。ゴール前の混戦から最後は先制点の鵜戸がゴールへと押し込み、会場中が大歓声に包まれた。
「あそこはこぼれてくると思って、最後は思い切り(足を)振って決まったので良かった」と鵜戸。自身初の2ゴールで目標だった国立の舞台を引き寄せ「もう、今までで一番うれしいです」と満面に笑みを浮かべていた。
前田監督が「最初からやるで!って感じで入った。殴り合うで!と」と話す真っ向勝負で日大藤沢、明秀日立に続き、またも強豪を倒して4強入り。「こういうのが一番楽しいと1期生から伝えてきた。ジャイキリじゃないが、そういうDNAは染みこんでいる」。この勢いを背に受け、夢の国立へと乗り込む。