近江旋風準Vで完 一時同点も王者のカウンターに脱帽 MF山本が投入2分弾 前田監督“海賊”とまた「挑戦」

 後半、同点ゴールを決める近江・山本(右)
 試合中、選手の動きに視線を向ける近江・前田監督
 準優勝に終わり肩を落とす近江イレブン
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 「全国高校サッカー選手権・決勝、青森山田3-1近江」(8日、国立競技場)

 5万5019人の大観衆の前で青森山田が近江(滋賀)を3-1で下し、2大会ぶり4度目の優勝を飾った。後半15分にFW米谷壮史(3年)が決勝点を挙げるなど3-1の完勝劇。高円宮杯U-18プレミアリーグに続いて高校2冠を達成し、黒田剛前監督(53)から引き継いだ正木昌宣監督(42)が選手権でも優勝に導いた。近江は滋賀県勢18大会ぶりの優勝を逃した。米谷とFW郡司璃来(市立船橋)が通算5ゴールで大会得点王に輝いた。

 頂点には及ばす、海賊たちの冒険は終焉(しゅうえん)を迎えた。前田高孝監督(38)は「本当に選手たちは一生懸命、サッカーをやってくれた。彼らの頑張りを結果に結びつけられなかった指導者の未熟さが出た」と悔しさをにじませた。

 青森山田を相手に前半は0-1でしのぎ、後半開始から投入したMF山本諒(2年)が出場わずか2分で同点ゴール。流れは近江…と思われたが攻勢を仕かける近江に対し、王者はカウンターから2点を奪う。これには「やっぱりスゴいっすよね」と脱帽だった。

 「Be Pirates(海賊になれ)」の言葉通り、自由なサッカーを展開した近江。指揮官には1つの後悔があった。昨年12月のプレミアリーグ昇格を懸けたプレーオフで「歴史を変えるぞ」と臨み敗戦を喫した。

 「今いる彼らが歴史を背負う必要は全くなかった。今大会はめちゃくちゃリラックスさせて、彼らが純粋にサッカーに向き合える環境をと考えた」

 前田監督自身、プロ引退後にバックパッカーで世界を渡り歩き、ホームレスW杯の日本代表コーチも務めた異色の経歴を持つ。その経験が選手へ自由度を与える原点だった。

 その裏で大会中は朝方まで相手を分析して支えた。それも「ブラックサンダーとコーヒーとレッドブルの三種の神器で乗り切った」と笑い飛ばす。座右の銘は「挑戦」。「また何十年後かに帰ってこられるよう頑張ります」とうそぶく指揮官に率いられ、近江は新たな挑戦を続けていく。

 近江の“桜木花道”MF山本(2年)が期待に応えた。後半開始から投入され、その2分後に「動いたところにボールが来て流し込むだけだった」と右足で押し込み一時は同点となるゴールを決めた。前田監督が自チームを漫画「スラムダンク」の湘北高に例え「桜木花道は山本」と話していた2年生ストライカーは新チームへ「引っ張っていきたい気持ちがある」と意気込んだ。

 ◇前田高孝(まえだ・たかのり)1985年6月30日生まれ。38歳。滋賀県東浅井郡出身。草津東高時代に全国大会出場。卒業後の04年にJ1清水に加入した。清水退団後はシンガポール、ドイツ、ルーマニアと渡り歩き08年に現役引退。その後は関学大に入学し、バックパッカーで世界各地を巡りボランティア活動にも従事。12年からの関学大コーチを経て、15年に近江高の監督に就任した。

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