対策されていた日本 ロングボールへの対応が後手、個の力で抜けない時の策乏しく【福西崇史の視点】

 「アジア杯・準々決勝、日本代表1-2イラン代表」(3日、アルラヤン)

 3大会ぶり5度目の優勝を狙った日本だったが、難敵イランの前に散った。日本が前半に守田のゴールで先制も、後半に追いつかれ1-1の試合終了間際にPKで勝ち越し点を奪われて敗れた。2大会ぶりに8強での終戦となった。デイリースポーツ評論家の福西崇史氏が今大会を振り返り、収穫と課題を指摘した。

◇ ◇ ◇ ◇

 守備の不安定さが出た今大会。人が代わることで、オフサイドラインのミスで点を取られた場面もあったし、イラン戦は横の揺さぶりがうまくいかなかった。イランには長いボールを蹴られたとき、拾えなくて押し込まれた。コミュニケーションや声出しも少なく、多くの観衆によって互いの声が聞こえないのは分かっているのに、最終確認を怠っている気がした。いくときにはみんながいかないといけない。リスクを負わないといけない。安全策を取りにいき過ぎた。

 大会を通じて、かなり日本対策をされていると感じた。ロングボールをけられて、そのこぼれ球を常に意識されている。日本がつなごうとしているところには必ずプレッシャーをかけてきて、日本にロングボールをけらせる。そこは日本の生命線だ。ロングボールをける局面になったときに、競り合う人と拾う人がどれだけ近い距離感でいられるか。先を考えた上でプレーしないと、蹴られたからサポートにいこうでは、すでに後手後手になっている。

 世界と戦うときはチャレンジャーとしてガンガンいけばいいが、アジアだとボールが持てる。ただ、持ったボールを大事にいき過ぎる。安全策を選んでしまう。そうなるとブロックを組み直される。相手に時間を与えてしまい、なかなかうまくいかなくなる。これがアジアの戦いの難しさ。相手の組織はしっかりしているし、レベルも上がっている。個の力で抜けないときにはどうしていくのか、という策が少なかった。

 ただ、収穫もあった。負けたことでアジアで勝っていく難しさを知ることができた。鈴木はいろいろと言われながらも経験を積めたし、あとは上田をどう生かしていくかだ。W杯予選へ、この負けを生かさなくてはいけない。

 対策をされたときにどういう策を持ち合わせるか。グラウンドの中で、選手たちがイメージを一致させる戦い方ができるか。メンバーの大きな入れ替えはないだろう。調子のいい人が少し呼ばれるか、そしてコンディションの悪い選手がどうなるか。ただ、3チーム分の厚みができている中、主軸がいない中で次に任せられる選手はまだいない。(2002年日韓、06年ドイツW杯日本代表=本紙評論家)

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