神戸DF岩波拓也 浦和での6年をチームに還元したい 「厳しい環境でもう一度勝負を」
Jリーグは23日に開幕し、昨季J1を初制覇した神戸は24日の磐田戦(ヤマハ)で初戦を迎える。昨季からの上積みを目指す上で欠かせない新戦力のインタビューを3回にわたり紹介する。3回目は7年ぶりに浦和から古巣に復帰したDF岩波拓也(29)を取り上げる。ジュニアユース時代から在籍した、思い入れのある地元・神戸で再スタート。吉田孝行監督(46)とは選手同士としてプレーしていた時期もあり、自身の神戸での初タイトルと吉田監督の胴上げを目標に、浦和で培った経験を生かす。
期待と希望、そして危機感を抱いての再出発だ。岩波は強い言葉で復帰への思いを口にした。
「自分がいくつか話をもらった中で一番厳しいチームを選んだんじゃないかと思っている」
2018年に浦和へ移籍。強豪クラブで6年間技を磨き、天皇杯2度、富士フイルム・スーパーカップと、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のタイトルを獲得した。一方で、試合に出られない悔しさも味わった。
「浦和でも試合に出続けたわけではなく、途中で出られない時もあった。それでもやり続けること、チャンスが来た時にものにすることは大きいと実感した。僕自身は神戸でタイトルを一つも取っていない。タイトルの喜びを教えてくれたクラブが浦和。充実した6年間だった」。その経験を持って、優勝チームとなった古巣へ戻ったのには、並々ならぬ決意があった。
「厳しい環境にもう一度身を置いて勝負したいと思ったし、自分に夢を与えてくれたクラブでもある。浦和に在籍しながらも神戸のことは常に気にしていたし、もう一度プレーできるチャンスをもらえるならプレーしたい気持ちはあった」
守備の要というポジションにも強いこだわりを持っており「プロになってセンターバック以外はやっていないのでそれ以外に選択肢はないし、神戸のサッカーを見ていると、自分が生きるところというのも大きくあると思う」と、レギュラー争いに食い込んでいく構えだ。
浦和での6年間を神戸に還元することがチームへの恩返し。吉田監督とは、選手同士としてプレーしていた間柄だ。
「選手時代の吉田監督は背中で引っ張るタイプ。当時はJ2に落ちたりJ1に上がっても残留争いをしたりと、難しい状況。そんなチームをベテランらしく引っ張る姿は印象的だった。もちろん2連覇も大きな目標だし、アジアの優勝監督にできたら素晴らしいことじゃないかと思う」
吉田監督を胴上げしたい。そして自身にとって神戸で初となるタイトルを、支え続けてくれた地元サポーターと分かち合いたい。
◆岩波拓也(いわなみ・たくや)1994年6月18日、神戸市出身。神戸の下部組織で育ち、11年から第2種登録選手としてトップチーム登録。18年に浦和へ完全移籍し、今年、神戸に復帰した。16年リオデジャネイロ五輪日本代表。ポジションはDF。利き足は右。186センチ、72キロ。