川崎まずは1冠 ファンウェルメスケルケン際 母国デビューでV弾 オランダで11年間のプロ生活
「富士フイルム・スーパーカップ、神戸0-1川崎」(17日、国立競技場)
Jリーグのシーズン開幕(23日)を目前に控え、5万2142人の観衆を集めて行われ、天皇杯覇者の川崎が昨季J1初優勝の神戸を1-0で破り、3年ぶり3度目の優勝を果たした。後半開始早々に新加入のDFファンウェルメスケルケン際(29)がこぼれ球に反応して先制点を挙げた。賞金は川崎が3千万円で神戸は2千万円。前座試合では日本高校選抜が神戸ユースに1-0で勝った。
新戦力が母国での“デビュー戦”で値千金の活躍を見せた。オランダ1部リーグのNECから川崎に新加入のファンウェルメスケルケン際が、日本でのプロ初公式戦にスタメン出場。そして両チーム無得点で迎えた後半3分に、最大の見せ場が訪れた。
FKのこぼれ球に反応した右足のシュートが、相手DFの足をはじいて神戸ゴールへ吸い込まれた。日本での初ゴールは、チームを今季初タイトルへと導く決勝弾。際は真っ先にベンチへと向かい、仲間と抱き合って満面に笑みを浮かべた。
「試合前から点を決めたらベンチへ走ってみんなで(喜びを)分かち合いたいと思っていた」と明かし、「デビュー戦が国立でタイトルが懸かっている状況は、ほぼ起こり得ない」と喜んだ。
高校卒業と同時に渡ったオランダで11年間をプロとして過ごし、さらなる飛躍の場を求めた今季。ドイツなども候補の中で「成長できるチームだと思った」と選んだのが川崎だった。「みんな質が高い選手。日々の練習から100%、120%でやっている」と新天地での充実感を語った。
チームにとっても大きな勝利だ。24日の湘南とのリーグ開幕戦まで公式戦4連戦の2試合目。13日のACL・山東(中国)戦からスタメン全員を入れ替えたが、鬼木監督が「大幅に変えてもある程度計算は立つと、自信を持って送り出せた」という選手たちが見事、その期待に応えた。
これでチームは昨年10月から公式戦は14戦無敗。家族が見守る中で最高の母国デビュー戦を飾り「この勢いのままACL、リーグ戦へいければ」と際。前年のJ1王者を撃破し、初のアジア制覇とリーグ王者奪還へ向かう戦いをスタートさせた。
◆ファンウェルメスケルケン際(ふぁんうぇるめすけるけん・さい)1994年6月28日、オランダ生まれ。2歳で山梨県に移り住み、08年からは甲府の下部組織に所属。高校卒業後はオランダに渡り、オランダ2部・ドルトレヒトに加入した。その後はカンブール、ズウォレを経て23年にNECと契約。今年1月に川崎加入が決定した。16年にはU-23日本代表に選出されてトゥーロン国際大会に出場。178センチ、73キロ。