札幌FW鈴木武蔵ら現役Jリーガー8人が福島で共催大会 能登半島地震で被災したチームも招待

 J1札幌のFW鈴木武蔵ら現役Jリーガーが主催した冠大会のチャンピオンシップ大会となる、「第2回HEROES CHAMPIONSHIP」が2、3日に福島県楢葉町のJヴィレッジで行われ、FCヴィオレータ(埼玉)が優勝した。

 大会は小学生が対象で「地域の子どもたちに夢と希望を与え、社会貢献に興味を持ってもらう」ことを目的に、FW鈴木、MF荒野拓馬(ともに札幌)、MF宇賀神友弥(浦和)、DF岡本拓也、MF平岡大陽(ともに湘南)、MF松田天馬、MF川崎颯太(ともに京都)、MF前寛之(福岡)の現役Jリーガー8人が共催する形で実現した。各選手らが冠となる大会を北海道、埼玉、神奈川、京都、福岡で開催。各大会の優勝チームに加え、地元・福島のパルアリーレ福島や1月の能登半島地震で被災したセブンFC(石川)も招待され、計10チーム(セブンFCは2チームに分かれる)150人が参加した。

 昨年に続き、大会を支援した鈴木は「今回は能登半島地震で被災した子どもたちを招待させていただき、復興支援を兼ねた大会となり、より意味のある大会になったと思います。被災した子どもたち、夢を追いかける子どもたちが交流して励まし合い、被災地を明るくしてくれたらと思います。また、保護者の方々も子どもたちの楽しそうな姿を見て、少しでも勇気を持ってもらえたり、元気になってもらえたら本当にうれしいです」とコメントした。

 参加チームの交通費、宿泊費は無料。アスリートの社会貢献活動を推進する「日本財団HEROs」からの活動奨励金や石川県から被災者を招待することに伴う助成金などが大会運営に充てられた。また「日本財団HEROs」から元サッカー日本代表の巻誠一郎さん、元アーティスティックスイミング日本代表の杉山美沙さんが運営に参加した。

 2日夜には宇賀神、岡本、川崎、鈴木の4人が子どもたちとのオンライン交流会に参加。セブンFC代表の吉田泰さんと巻さんが被災地の現状報告を行い、「被災地で何が起きているのか」を学ぶ貴重な場となった。

 3日にはセブンFCの監督や選手、保護者らが11年3月の東日本大震災で被災した福島県の富岡町、楢葉町を視察。復興したJヴィレッジを見て希望を持ってもらい、目にしたことを石川の人々に伝えてもらうことを目的とした。保護者の一人は「私たちと同じように被災地となったJヴィレッジの被災展示パネルを見て、私たちの住む町も一日でも早く子どもたちが安心して住める状況になることを願うばかりです」と語った。

 ▽「日本財団HEROs」荒木哲朗氏「日本財団HEROsでは、JFAやNPO法人カタリバと連係してアスリートとともに被災地の学校を訪問し、一緒に身体を動かしたり対話をするような取り組みを続けています。震災から2カ月がたち、こういった形で被災生活から離れて過ごす時間も必要になってくるタイミングでしたので、今回(大会を)実現することができ、協力いただいた方には感謝しております。まだまだ復旧、復興が必要な状態ではありますが、そのような中でも全国の子どもたちとサッカーを通じて交流し、さまざまなトップアスリートと話した経験が、被災地の子どもやそのご家族にとって前向きに進める何かにつながっていれば幸いです」

 ▽セブンFC・吉田泰代表「地震前は週4回の練習をしていた子供たちが1月1日以降、約3週間まったくボールを蹴ることができませんでした。練習会場だったサッカー場がひび割れ、隆起で使用できなくなり、現在は近くの公園で薄暗い中なんとか練習をしています。今回このような機会をいただき、思いっきりボールを蹴ることができて久々に子供たちの満面の笑みを見ることができました。地元の元気のためにも良いきっかけになりました。対戦相手も強豪で、夜にはJリーガーとオンラインでつながることができ、巻さんの熱い話を聞くことができて、小学生の最後に素晴らしい遠征になりました。会場が東日本大震災の被災地だったこともあり、災害が起こっても復興している姿を見ることができて、明るい希望を持てました。私たちも必ず復興します。関係者の皆さま、本当にありがとうございました」

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