元日本代表MF青山敏弘 貫いた「広島愛」 J1通算433戦誇るバンディエラ「このクラブで監督として日本一に」引退会見

 今季限りでの現役引退を発表したJ1・広島の元日本代表MF青山敏弘(38)が21日、広島市内のホテルで引退会見を行った。広島一筋21年。クラブ歴代最多となるJ1通算433試合出場を誇るバンディエラは「尊敬するサンフレッチェ広島というクラブで引退できることをうれしく思う」と話し、9年ぶりのリーグ制覇にも決意をみなぎらせた。

 サッカーへの情熱は消えていない。ただそれ以上の「広島愛」が青山に、この地での引退を決断させた。「僕はこのクラブが大好きです。皆さんが思っている以上に大好きかもしれない」。会見では、これまで歩んできた自身の道のりをかみ締めるようにゆっくりと言葉を並べ、クラブやサポーターに感謝の思いを伝えた。

 今季は並々ならぬ思いで臨んでいた。開幕前にクラブから選手契約に関して「今年で最後」と通告された。「クラブの決断を覆そうと思って戦ってきた」。だが、ここは世代交代が激しいサッカーの世界。今季はここまでリーグ戦は2試合の出場にとどまり、「若い子たちが(自分から)ポジションを奪って首位争いをしてくれている。これほど気持ち良く引退することは僕にとっていいこと」とスパイクを脱ぐ決意を固めた。

 他クラブでの現役続行の道については、「まずなかったですね。毎年移籍しようとは全く思わなかった」とキッパリ。チームは現在リーグ首位に位置づける。優勝争い真っただ中での引退発表には、「何か1つになるようなものがあれば」という思いを込めた。最後までサンフレッチェへの愛を貫き、それを行動で示してきた自負がある。

 プロ2年目の左膝前十字靱帯断裂など、数々の大ケガを乗り越え、3度のリーグ制覇と15年にはリーグMVPにも輝いたバンディエラ。今後は「このクラブで監督として日本一になりたい」と見据える中、まず成し遂げたい夢がある。「最後にピッチに立って優勝して、『やはりここでこの景色を見たかったんだ』と実感して現役を終えたい」。今季開業の新スタジアム、その中心で紫の背番号6が歓喜のシャーレを掲げる。

 ◇青山敏弘(あおやま・としひろ)1986年2月22日生まれ、38歳。173センチ、74キロ。B型。岡山県出身。作陽高から2004年にサンフレッチェ広島に入団。正確なパスや堅実なプレーが持ち味の守備的MF。J1通算443試合に出場して20得点。12、13、15年に主力としてJ1制覇に貢献してベストイレブンに選出され、15年はMVPに輝いた。日本代表として国際Aマッチ12試合で1得点。14年W杯ブラジル大会に出場した。

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