香川つかんだ!少年時代からの夢切符
「W杯アジア最終予選、日本1-1オーストラリア」(4日、埼玉)
FW香川真司(24)=マンチェスター・ユナイテッド=が、夢のW杯切符をつかんだ。オーストラリア戦にフル出場。ゴールこそ奪えなかったが、後半14分にはクロスバーをかすめるループシュートを放つなど日本代表の攻撃陣をけん引した。前回のW杯出場をスタンドで見届けることしかできなかった男が、自身初のW杯に挑む。
W杯出場を告げる笛が埼玉スタジアムの夜空に鳴り響いた。「子供のころからの夢だった」というW杯。香川は拳を握りしめ、両手を天に突き上げた。
思いをピッチに刻んだ。前半19分、香川を起点にMF本田、FW岡崎と細かくつないだボールをペナルティーエリア内で受けシュート。後半14分にはループシュートがクロスバーを直撃するなど何度もゴールに迫った。
09年6月6日、日本が南アフリカW杯出場を決めた一戦。ベンチ外の香川はスタンドから見届けることしかできなかった。1年後の本大会出場を夢見て、登録メンバー発表直前に岡田監督(当時)が視察した試合で得点したが落選。スカウト時代、香川獲得に尽力し、その後コーチとして成長を見守ってきたC大阪の小菊コーチは「あの時ほど、つらい表情は見たことなかった」と振り返るほど落ち込んだ。
ドルトムント移籍が決まっていた中、“24人目の男”としてサポートメンバー入りを要請された。心は揺れたが「世界を目の当たりにして感じることがたくさんある」と帯同を決断。もっとも、帰国後には小菊コーチに「やっぱり悔しかった」と本音をこぼした。
最近は常に「評価されるのは結果」と口にする。ただ、大一番でゴールという“結果”を生み出せず「代表を勝たせる強い意思が足りない。(本田)圭佑のように違いを生み出す存在がチームにとって大きい」と、反省の言葉も口を突いた。
マンチェスターUに移籍し、日本の10番としての重圧も乗り越えた。C大阪に練習参加していた10代のころからの誓いは、「代表に入ってW杯に出る」‐。夢の扉を今、自らの力でこじ開けた。