ザックJドーハで果たす悲劇のリベンジ
「W杯アジア最終予選、イラク‐日本」(11日、ドーハ)
サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会出場を決めた日本代表は11日午後5時半(日本時間同11時半)から、当地のアルアラビスタジアムでイラク代表とのアジア最終予選最終戦に臨む。日本代表は20年前の1993年に同地で行われたW杯米国大会アジア最終予選で、同じイラクを相手に引き分け、W杯初出場を逃した“ドーハの悲劇”を味わった。時代は移り、アルベルト・ザッケローニ監督(60)以下、日の丸を背負う後輩たちは先輩たちのリベンジを誓い、勝利とその先へ向けたレベルアップを目指す。
指揮官、選手の顔ぶれは変わった。しかし、日本サッカー界だけでなく、日本人の胸の奥から離れない出来事への思いは衰えていない。20年前と同じドーハで戦う因縁のイラク戦。違うのは当時は翌年のW杯大会出場を残り数秒で逃したが、現在はすでに5大会連続のW杯出場を決めていることだ。
10日の公式会見でザッケローニ監督は真剣な面持ちで、イラク戦への意気込みを述べた。「日本は圧倒的強さで突破を決めたが、ヨルダン戦では足をすくわれた。非常に暑くなることも予想され、それは不利に働く要素になる。しっかりマネジメントしたい」。“ドーハの悲劇”のリベンジを誓う言葉はないが、この後のコンフェデ杯や来年の本番を見据える上で、イラク戦の存在意義を強調した。
日本は右太ももに張りを訴えて別メニュー調整が続くMF本田には、無理をさせないもよう。本田欠場時の戦い方はチームの課題でもあり、イラク戦は格好のテストになる。トップ下にはFW香川が入るとみられ、FW乾らとの連係が注目される。香川は「ドーハでのイラク戦はいろんな歴史がある。勝って予選を終わらせたい」と語った。出場停止の守備的MF長谷部の代役は細貝が有力。また、4試合連続失点中の守備陣は、イラクの速攻への対応が鍵となる。
20年前の試合終了間際、イラクに同点ゴールを決められた日本の選手たちは、ピッチ上に倒れ込んだ。当時7歳だったFW岡崎は、今度は自らが復しゅうゴールを狙う。「消化試合とは思わない。守りに入ったら終わり。ゴール前で誰よりもゴールできる自信をつけたい」と燃える。
チーム最年長33歳の遠藤は出場停止の長谷部主将の代理で記者会見に臨み、「W杯出場を決めているが、消化試合とは思っていない。高いモチベーションを持ち、勝って最終予選を終えたい」と語った。試合でもキャプテンマークを付けるもようだが、「全員が主将という意識でやればいい」と全員一丸を唱(とな)えた。カズやゴンが涙に暮れたドーハで、たくましく変ぼうしたサムライ・ブルーの新たな一歩が記される。