【5大ザックの素顔2】おもてなし精神

 サッカー日本代表が出場するW杯ブラジル大会まで、4日であと100日となった。「優勝を目指す」と公言しているMF本田圭佑を筆頭に、香川真司、DF長友佑都ら個性派集団をまとめるアルベルト・ザッケローニ監督(60)はどんな人物で、どんな思考回路の持ち主なのか。就任前の交渉から間近に接してきた日本サッカー協会・原博実専務理事(55)の証言を中心に、知られざる素顔に迫った。

 散歩が好きなザッケローニ監督も、おいそれと簡単に外を出歩けない時期があった。2010年8月30日に日本代表監督就任が発表される前に、お忍びで来日した時のことだ。日本サッカー協会の原専務理事に当時のザッケローニ監督の様子をたずねた。

 「日本を見てもらわないと、最終的に契約まではいけないから。日本食を食べてもらったり、東京を見てもらったり。ただ、そういう時もね、まわりを見て観察する力にたけているからね。日本に対して興味津々だったね」

 本田圭佑が所属しているイタリア1部リーグ(セリエA)のACミランを率い、98‐99年シーズンを制覇しただけではなく、ユベントス、インテル・ミラノといったイタリア・サッカー界のビッグ3の監督を歴任してきた有名人だけに、メディアはもちろん、サッカーファンに見つかっても情報が漏れかねない。ホテルに身を隠してもらいつつ、食事や簡単な観光に出かけたという。

 日本食に舌鼓を打ち、美しい街並みに感動したザッケローニ監督が、それ以上に関心を示したのが、日本のおもてなしの心だった。

 「はやりの言葉みたいになっちゃうけどね」と照れながら原専務理事が振り返る。「このお店は気配りができているな、とか。このホテルでは、こういうところに気遣いをしてくれるんだ、とかね」。日本特有のおもてなし精神に、イタリア人監督は「ここならやっていける」と心ひかれていったようだ。

 監督が生後7カ月の時に、イタリア北部の港町・チェゼナティコで両親が飲食店の経営を始め、今もザッケローニ一家はレストランやホテルを経営している。そこでは、日本に通じるザック流のおもてなしも体験できるだろう。

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