【5大ザックの素顔5】半分“日本人”
サッカー日本代表が出場するW杯ブラジル大会まで、4日であと100日となった。「優勝を目指す」と公言しているMF本田圭佑を筆頭に、香川真司、DF長友佑都ら個性派集団をまとめるアルベルト・ザッケローニ監督(60)はどんな人物で、どんな思考回路の持ち主なのか。就任前の交渉から間近に接してきた日本サッカー協会・原博実専務理事(55)の証言を中心に、知られざる素顔に迫った。
「今日から日本人の気持ちでないといけない」‐。ザック監督が自らの“日本人化”を宣言した2010年8月31日の就任会見から約3年半が過ぎた。わさびを携帯したり、協会首脳が験担ぎに食べているトンカツを一緒に味わったりと、日本の文化になじもうとする努力は続けていた。
監督と10年以上の親交がある元イタリア代表FWのダニエレ・マッサーロ氏は「弱音を聞いたことはないですね。逆に、日本代表を率いていることに非常に満足しているようです」と証言する。同氏は監督との会話から「素晴らしいおもてなしの精神を持った優しい市民や、住みやすい環境。(科学)技術も進歩していること」がその理由だと受け取ったという。
コンフェデ杯の時に長谷部に訴えたように、日本人的思考を完全には理解できないまでも、日本愛に目覚めたのは確かなようだ。原専務理事は「向こう(欧州)ですしとか食うと、『ノン、これは違う』とか言ってさ。日本通ぶってる。本当においしい日本の料理を知っちゃったから、飽き足らなくなったんだろうね」と、日本人化を実感したという。
試合や大会の目標を尋ねられると「私は結果を約束しない。結果を目指す努力をすることは約束する」と答えるのが定番で、こうした慎重な面も日本人的だ。W杯のような一大イベントに熱くなるのも日本人の特徴。ザック監督が“日本人”として国民の期待を受け止めきれるか、真価はこれから問われる。