さよなら国立…ラモスからのゴンゴ~ル

 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて解体、改築に入る現在の国立競技場で最後のイベントが5月31日に行われ、ゆかりのあるアスリートらが最後の一日を盛り上げた。サッカーの「レジェンドマッチ」では、MFラモス瑠偉氏(57)からのスルーパスをFW中山雅史氏(46)が決めて“ゴンゴール”で“聖地”との別れを惜しんだ。新国立競技場はラグビーW杯が行われる19年の3月に完成する。

 最後の聖地を彩ったのは、“お祭り男”の一発だった。前半7分、MFラモス瑠偉のスルーパスにFW中山が抜け出し、GKと1対1に。股抜きシュートを決めると、跳び上がってのガッツポーズで喜びを爆発させた。

 相手チームのスタメン平均年齢が62・2歳だっただけに「かなりプレッシャーが緩かったから」と笑いながら「最後なんで点を取れればと思ってた。あれぐらいできれば、(18年W杯の)ロシア目指せるかな」と、胸を張った。ラモスのスルーパスからの“ゴンゴール”といえば、強烈な印象を残しているのが、あの“ドーハの悲劇”と呼ばれた93年W杯最終予選のイラク戦での一時勝ち越しとなるゴール。くしくもその後、同点にされるところまで同じとなったが、当時を彷彿(ほうふつ)とさせるプレーで、国立最後の一日を盛り上げた。

 国立競技場の歴史は、日本サッカーの歴史そのものでもあった。ラモス氏が「印象に残っているのは、釜本さんの引退試合、Jリーグの開幕、ラモス瑠偉のスーパーゴール、キリンカップ優勝。負けた記憶がない。サッカーの神様がすんでいる場所だった」と感慨を込めて話せば、中山氏も「たくさんの選手たちの思い、記憶が刻まれている。みんなで次のスタジアムに伝えてもらいたい」と、新国立に“魂”が引き継がれることを願った。

 多くのアスリート、ファンに愛された日本スポーツ界の聖地はその役割を終え、新たな歴史を紡ぐために生まれ変わる。

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