岡崎、特攻隊長になる「僕がやるべき」
「ブラジルW杯・C組、日本-コートジボワール」(14日、レシフェ)
包帯が外れ、ばんそうこうも小さくなった。6日のザンビア戦で左まぶた上を5針縫う裂傷を負ったが、FW岡崎慎司(マインツ)は治りつつある傷が再び開くのもいとわない。「けがした時もそうだったけど、ああいうのができるのが自分だと思っている。特攻隊長的な役割は僕がやるべきだと思う」。試合後に抜糸予定の傷は男の勲章だ。
役割は右サイドから相手の守備ラインの後ろに飛び出すこと。ザンビア戦では相手GKと頭同士がぶつかり、激しく流血した。所属のマインツでは欧州主要リーグ日本人歴代最多の15得点をマークし、本来なら自分が得点しやすいような位置取りをしてもいい立場だが、つぶれ役を買って出ている。
オフに本田主催の卓球大会が開かれるほど、今大会のチームを「前回以上のまとまりがある」と見ている。キーワードは「犠牲」だ。「ある意味だれかが犠牲になるかもしれないけど、犠牲と思っていない」。岡崎にとっての犠牲は、泥くさく動き回り香川や本田、1トップのおとりになることが当てはまる。
岡崎をマークするのが予想されるコートジボワールの左サイドバックは古巣シュツットガルトのボカ。「僕と1対1の対人をやりたがってきた。削ってもいいと思ってたみたい」と当時を懐かしんでいたが、それも岡崎の人間性が認められていた証拠といえる。
W杯の開幕戦でブラジルのネイマールが得点したことを伝え聞き「ああいう星のもとに生まれたいなと思いますね」と、笑いを誘った。日本の特攻隊長は、運命を頭から突っ込んで切り開く。