【戸田和幸の目】間違った戦い方を選択
「ブラジルW杯・C組、日本0‐0ギリシャ」(19日、ナタル)
自分たちのサッカーを最後までやり切ってほしかったが、残念な形で終わった。
前半38分に退場者が出たギリシャは、システムを4‐4‐1に変更して中央を固めた。ボールを保持できた日本は、1人少ない相手を守備に奔走させ、空いたサイドのスペースを使うことができたが、スコアレスの終盤ではDF長友らが単純なクロスを放り込み、ことごとく長身DFにはね返された。
最後はもう少し工夫ができたのではないか。日本らしく地上戦でドリブルで中央に切り込んだり、ワンツーを使ったり、横の動きも加えて仕掛けられたはずだ。
その仕事の中心は本来、香川だが、まだ本調子ではないのだろう。香川には積極的に仕掛けることでチャンスをつくり出してもらいたかったし、相手を引きつけることで他の選手にミドルシュートの機会を与えるような働きも見せてもらいたかった。また、ゴール前にFWが飛び込んで低く速いクロスを入れることもなかった。サイドから放り込むだけでは、足にきていた相手は楽だ。
交代枠を1つ余らせて終わったことも疑問だ。相手目線で想像すれば、疲れ切った状況でさらにMF斎藤のようなドリブラーを投入し、ボックス内に向かって仕掛けられたらどうだったのかを考えれば、答えはおのずと出るはずだったが、最後は初戦同様、DF吉田を前線に上げてパワープレーに転じた。一番やってほしくないやり方に流れていった。
長身FW不在のメンバー構成で自分たちの戦い方を鮮明にしたはずが、大会に入って変わってしまった。間違った戦い方を選択したと言わざるを得ない。最後まで日本のサッカーをやり切ってほしかった。(2002年日韓W杯日本代表MF)