香川、恋い焦がれた夢舞台で3試合不発
「ブラジルW杯・C組、日本1-4コロンビア」(24日、クイアバ)
無得点のFW香川真司(25)=マンチェスター・ユナイテッド=には、失意のW杯初出場となった。夕暮れ迫るクイアバの空を、ぼう然と見ていた。後半40分、ピッチを退いた香川はふらふらとベンチ横まで歩き、あお向けに倒れ込んだ。「悔しかった。これで終わりかと思うと、すごく…さみしかった」。恋い焦がれていた夢舞台は、はかなく霧散した。
あのとき心に誓った目標とは、180度違った。4年前、南アフリカ‐。メンバー入りを逃した香川は、日本の躍進をスタンドから眺めているだけだった。「素直に喜べない自分がいましたね」。ブラジルW杯でチームの中心となると決めて挑戦を続けた4年間は、あっけなく終わった。
紆余(うよ)曲折を経て成長を続けてきた。ドルトムント(ドイツ)では中核としてリーグ2連覇に貢献。世界屈指のメガクラブ入りも果たした。世界で戦える。だが、確信と共にW杯に臨んだ背番号「10」が3試合で放ったシュートは、この日の5本のみ。チームも1次リーグで敗退。「1勝もできなかった」。現実は、どこまでも残酷だった。
「今すぐ振り返るのは、なかなか難しい。でも自分のキャリアは続いていく。決してここで引退するわけじゃないので、しっかり整理して頑張ります」。悔しさ、むなしさ、情けなさ。すべてを糧に、香川は前へ進む。明けない夜はない。