久保&原川 リオ決めた同郷同級生弾
「サッカー・U-23アジア選手権・準決勝、日本2-1イラク」(26日、ドーハ)
準決勝で日本はイラクを2-1で破って6大会連続10度目の五輪出場を決めた。前半26分、FW久保裕也(22)=ヤングボーイズ=が先制。追い付かれたものの、1-1の後半ロスタイムにMF原川力(22)=川崎=のミドルシュートで決勝点を挙げた。韓国はカタールを3-1で下して8大会連続の五輪を決めた。日本と韓国は30日に決勝で対戦。出場権は上位3チームに与えられ、3位決定戦(29日)でカタールとイラクが最後の枠を争う。
同郷の2人が日本を五輪へと導いた。先制点は前半26分、チームで唯一全5試合出場の久保が「信じて走り込んだ」と、FW鈴木のクロスに滑り込んで右足を合わせた。後半48分には原川が劇的決勝弾。「一番気持ちいいゴールだった」と歓喜に浸った。
2人は山口市出身。鴻南中の同級生で京都U-18の同期でもある。出会いは小学時代までさかのぼり、チームこそ違ったが試合やトレーニングセンターで何度も顔を合わせた。
鴻南中では久保は部活、原川は地元クラブのレオーネ山口でプレーした。中学3年になると、2人は自主練習を始めるようになった。校舎横の「維新公園」で、卒業まで朝も夜も気の済むまでボールを蹴った。
「その頃から、お互いプロになりたいと思っていた」と原川は振り返る。中学時代に一度だけ実現した対戦は、9-1で原川のレオーネ山口が大勝。鴻南中の1点は久保が奪った得点だった。
先に頭角を現したのは原川で、久保は全国的には無名の存在。埋もれていた原石を発掘したのが、京都でスカウトを務めていた高本詞史氏(現岐阜チーム統括部長)だった。
逸材がいると聞きつけ、山口県の国体チームが合宿していた大分県まで足を運んだ。そこで目にしたのが、高校生に混じってプレーしていた中学3年の久保、原川、久永(現駒大)だった。「見たらすぐに分かった。スペシャルだった」と当時を振り返る。
久保については「見れば見るほど評価が高まった」と話し、京都U-18の練習に参加させた際には選手から「早く取らないとあかん」と進言された。原川も「ミドルは打てるし、ゴール前にも入っていける。中田英寿みたいだった」という。
2人はそろって京都U-18入りし、切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長を加速させていく。久保は「ずっと見てくれて、陰で支えてくれた。高本さんがいなければ今の僕はなかった」と感謝の言葉を口にする。
試合後、久保が原川に抱きつくと、原川は久保にペットボトルの水をかけて喜びを分かち合った。「2人で決められてよかった」と久保が話せば、原川も「ずっと一緒にやれてうれしい」。2人の歩みをかみしめるように笑った。