J2岡山の矢島&豊川ホットライン注目
リオデジャネイロ五輪出場を決めたサッカーU-23日本代表のMF矢島慎也(22)とFW豊川雄太(21)が、帰国後の束の間の休養を終え、所属するJ2岡山に合流した。9日の初練習には多くのサポーターが詰めかけ、サインを求めて行列ができるなど期待の大きさが感じられた。
昨季浦和から期限付き移籍で加入した矢島は、岡山で2年目のシーズンを迎える。豊川は鹿島から期限付き移籍で新加入。練習後には2人そろって会見を行い、矢島は「五輪を決められてホッとしたけど、もっと成長しないといけない。練習から意識高くやって、五輪や岡山での結果につなげたい」と意気込みを語った。豊川は「五輪予選でメンタル面が成長したと思う。J1に行くという覚悟を持って岡山に来た。何が何でも結果を出したい」と決意表明した。
日本中のサッカーファンが歓喜したリオ五輪アジア最終予選。2人は6大会連続の五輪切符獲得に大きく貢献した。豊川は準々決勝・イラン戦の延長前半6分に、均衡を破るヘッド弾を決めてチームを救った。矢島の見せ場は決勝・韓国戦。0-2の後半22分に鋭いスルーパスでFW浅野(広島)のゴールを引き出すと、1分後には鮮やかなヘディングで同点ゴールを奪い、大逆転劇の立役者となった。
その2人が今季、岡山でチームメートとして戦う。U-19から代表で一緒にプレーしており、互いの特徴は熟知している。会見では、矢島が自信たっぷりのコメントを発した。
「代表では、トヨ(豊川)はオレのアシストからよく点を決めている。ていうか、それ以外は見たことがなかったくらい、オレのアシストで点を取る。岡山でも、自分がパスを出したいと思うところで動き出してくれると思う」
実際、アジア最終予選の直前に行ったベトナム代表との親善試合で、矢島のアシストから豊川のゴールが生まれている。14年12月の親善試合・タイ戦でも2人の連係で得点を決めるなど、「感覚が合っている」と矢島。その言葉を隣で聞いていた豊川は「慎也くん(矢島)にはお世話になりっぱなしです」とペコリと頭を下げて笑いを誘った。
J1昇格を狙う岡山は昨季、DF岩政大樹(34)とDF加地亮(36)の元日本代表コンビを獲得。今季はG大阪からJ1通算68得点のFW赤嶺真吾(32)が加わった。そして、U-23日本代表で脚光を浴びた矢島と豊川が合流。悲願達成に向け、役者がそろったという印象だ。
代表で共に戦った仲間たちの多くがJ1でプレーする中、2人は出場機会を求めて今季の戦いの場をJ2に決めた。矢島は「J1でプレーしている選手には負けたくない」と、きっぱり。豊川は「2桁ゴールを取りたい」と力強く語った。J2開幕は2月28日。リオを見据え、ゴール量産を誓う若武者2人の“ホットライン”に注目したい。(デイリースポーツ・浜村博文)