岩清水V弾!なでしこ5大会ぶり決勝
「女子アジア杯・準決勝、日本2‐1中国」(22日、ホーチミン)
準決勝を行い、1次リーグA組1位の日本代表「なでしこジャパン」はB組2位の中国と対戦し、DF岩清水梓(27)=日テレ=が延長後半ロスタイムに決勝ゴールを決めて2‐1で競り勝ち、5大会ぶりの決勝進出を果たした。初優勝を狙うなでしこは後半6分、左CKからMF澤穂希(35)=INAC神戸=の得点で先制したが、後半35分にPKで同点ゴールを許した。国際サッカー連盟(FIFA)ランクで日本は3位、中国は16位。決勝と3位決定戦は25日に行われる。
PK戦突入寸前のラストチャンスで奇跡的な一撃が生まれた。MF宮間からの左CK。直前に相手選手が退場した混乱を、なでしこは見逃さなかった。DF岩清水が放った打点の高いヘディングシュートが、ついにゴールネットを揺らした。
「(宮間)あやから、いいボールが来て触っただけ。何回も下を向きかけたが、みんなのおかげ。みんなのゴールだと思う」
両手を突き上げて喜ぶ背番号「3」に、ピッチの選手たちが駆け寄り、大声を上げながら抱きつく。延長戦を含む120分間の死闘。限界まで力を出し尽くした戦いの末に、5大会ぶりの決勝進出をつかみ取った。
苦しい展開だった。試合開始の時点で気温34度を超える酷暑。加えて中国の決死の守備が、なでしこのパスワークに狂いを生じさせた。立ち上がりこそFW高瀬、川澄が決定機をつかんだが、攻撃に迫力を欠き、前半は無得点で終えた。
今大会3試合で無失点と鉄壁の守備を誇る中国に対し、日本はFW大儀見が所属のチェルシーとの取り決めで代表を離れた。
中国にはここまで7連勝だったが、08年大会準決勝では同じホーチミンで1‐3で敗れている。痛恨のPKで追いつかれ、“ホーチミンの悪夢”が脳裏をかすめる展開となったが、岩清水の決勝弾で中国を振り切った。
2得点をアシストした主将のMF宮間は「こういう戦いをすると、チームとして大きくなれる。ただ、まだ何も決まっていない。アジア杯を取りに来たので、いい準備をして次も勝ちたい」と決意を示した。念願のアジア初制覇へあと一歩だ。