菅沢、初先発初弾「自分らしさ出せた」
「カナダ女子W杯・C組 日本2-1カメルーン」(12日、バンクーバー)
2連覇を狙う日本代表「なでしこジャパン」が、カメルーンを下して2連勝。同組の2位以上を確定させ、16強による決勝トーナメント進出を決めた。前半6分、右クロスにMF鮫島彩(27)=INAC神戸=が合わせて先制。同17分には左からのクロスをFW菅沢優衣香(24)=千葉=が頭で押し込んだ。日本は同組1位突破をかけ、16日(同17日)にエクアドルと対戦する。
1次リーグ初戦のスイス戦(8日)でPKをもぎ取った際、相手GKと交錯して左足首を骨折、戦線離脱を余儀なくされたMF安藤梢(32)=フランクフルト=が車いすに乗り、スタンド観戦した試合。ベンチには安藤の背番号「7」のユニホームも掲げられた。「あんち(安藤の愛称)の思いも背負って戦う」と、チームの結束力を高めて臨んだ試合で、代役に抜てきされた菅沢が結果を出した。
1-0で迎えた前半17分だった。左からのMF宮間あや(30)=岡山湯郷=のクロスに合わせ、ファーサイドで身長168センチの菅沢が宙を舞う。角度のない所から頭で合わせたシュートが逆サイドネットを揺らした。「自分の持ち味である高さをアピールできたかな」。節目の代表10得点目にはにかんだ。
安藤からエネルギーをもらった。「試合前にハイタッチして、『パワーをください』ってハグしてきました」。安藤に背中を押されてのW杯初先発、初ゴールだった。
日本サッカー協会(JFA)が設立したJFAアカデミー福島の1期生。昨季はなでしこリーグで20ゴールを記録、得点王にも輝いた期待のストライカーだ。代表チームでは周囲への遠慮からか消極的なプレーが目立ち、存在感も希薄だったが、この日は違った。「緊張もあったけど、周りのフォローもあって自分らしさが出せた」と胸を張った。
「あんちさんのようにはできないけど、自分なりにチームに貢献できれば」と菅沢。W杯を勝ち上がるには前回大会の川澄のように、チームを勢いづかせる伏兵の活躍が欠かせない。菅沢がその役を担うようなら、W杯史上2チーム目の連覇も現実味を帯びてくる。